北尾吉孝日記

『未来を予測するために』

2020年1月24日 16:40

BSフジの番組「この国の行く末2~テクノロジーの進化とオープンイノベーション~」(毎週土曜18時~18時30分)の先日の収録時、AI inside 株式会社(昨年12月25日東証マザーズに新規上場)の渡久地(とぐち)択社長が次のように話されて、実に素晴らしい人物だと感心しました。

【20歳の頃(2004年)、年表を作った。「これから世の中がどうなるか」と考えて過去百年にさかのぼり、何年何月何日に何が起きた、多い日だと1日400項目くらい書き込んだ。過去を踏まえると、法則のようなものが見えてくる。量子コンピュータは2016年ぐらいに来る、とか。2030年にはガソリン車がなくなるだろう、とか…将来は「AI」と「宇宙」が大きなビジネスになると確信。特にAIは、2018年から2020年のあいだに、大きなイノベーションが起こることが見えてきた。ここに間に合わないと…と思ってやってきた。】

将来を知るということは、ある面で事業の成功に繋がる重要な一つの鍵であります。そして未来を知る・将来を知る上で一番大事となるは、実は過去を知るということです。先月のブログ『先を読む』でも、『論語』の有名な一節「故(ふる)きを温(たず)ねて新しきを知る」を御紹介しました。
あるいは、イギリスの詩人ジョージ・ゴードン・バイロンは「将来に関する予言者の最善なるものは過去である」と、また、アメリカの政治家ジョン・シャーマンは「将来に対する最上の予見は、過去を省みることである」と述べています。「歴史は例証からなる哲学である」(ギリシャの歴史家D・ハリカウナッセウス)とは私も全くの同感であり、だからこそ私は事毎に『歴史・哲学の重要性』を説き此の2つを勉強するよう発信し続けているわけです。
例えば中国史上、貞観の治(じょうがんのち…唐の第2代皇帝太宗の治世、貞観時代の政治)と称される最も良く国内が治まった時代を纏めた『貞観政要』(…太宗と家臣たちとの政治上の議論を集大成し、分類した書)を読みますと、色々な意味で本当に参考になります。
此の書を「愛読」した日本の歴史上の人物に、北条政子・徳川家康・明治天皇が言われていますが、私は愛読といった言葉よりも「学んだ」と言う方が適切だと思います。徳川家康をに述べるならば、彼がしっかりと『貞観政要』を読み込んだ上、更にそれを講義させ研究していたのは、あの貞観の治の時代における理想的な政治が如何に齎されたかを知りたかったということでしょう。
当書にある有名な言葉「創業と守成いずれが難きや」が示す通り、創業には創業の難しさが守成には守成の難しさがあります。何れにしろ大事なポイントは、所謂「関ヶ原の戦い」迄の家来達とそれ以後「徳川三百年」の礎を創って行く家来達とでは能力・手腕の違う人間であるべきで、天下統一後の家康は国づくりのステージに適した家来を自分の周りに置くようにしていたということです。
また仕組づくりに関しても、彼は『貞観政要』に学び研究したのだろうと思います。オットー・フォン・ビスマルク(初代ドイツ帝国宰相)が言うように、「愚者は経験に学び、賢者は歴史に学ぶ」のです。過去を知ることが如何に大きな意味があるのか――皆様も歴史に学ばれてみては如何でしょうか。




 

『古希を迎えて』

2020年1月21日 16:55

本日1月21日、69回目の誕生日を無事に迎えることが出来ました。満69歳(数え70歳)とは、古代より稀(まれ)なりと言われる古希という歳であります。
私が子供時代、古希の人と言うと「ずいぶん年寄りだなぁ」という感じがしていたのですが、自分が古希になってみると「意外と古希も未だ若いな。さすが人生100歳時代だ」というふうに思い、自分で笑っていました。
さて、今年も自宅も会社も植物園になる位に皆さんから祝意のお花を御送り頂きました。毎年の如く社長室や秘書室の人達が色々と趣向を凝らしてくれたり、また今回初めて海外の様々な拠点から御祝いを皆集まって言ってくれる機会がありDVDでそれを頂きました。
そしてまた古希の祝いということで、紫のちゃんちゃんこを着て帽子を被りました。還暦の時、赤いちゃんちゃんこを着て帽子を被ったのはつい此の間のように覚えていますが、「いよいよ私も紫を着るようになったか~」というふうに感じられました。御陰様で、気力・体力・知力とも充実しており、今後も此の調子で行けたらと思っています。
人間、一日一日自分がどう変わったかは分からぬもので、殆ど変わりなく変化して行き全く変化がないように見られます。しかし之が5年・10年というタームで見ますと、そこには大きな変化があるのです。そういう意味では、私も古希という歳になって「還暦に比べると、大きな変化がそこにはあるなぁ」と、還暦を祝って頂いた時の写真を見て思う次第であります。
ただ私の場合、SBIアラプロモ株式会社の機能性表示食品の御陰だと思いますが、血液検査はパーフェクトそして記憶力等についても、まだまだ若い者には負けません。目については、老眼鏡など全く要らない状況です。これからもALA(5-アミノレブリン酸)もどんどん飲みながら健康に留意し、世のために人のために尽くしたい、というふうに思っています。
今日まで、私のブログや書籍を御読み頂いている方々また仕事上色々な事柄で関わりがある方々、あるいは私共グループの役職員皆様に対して、今日この日を幸せに迎えられたことを本当に感謝したいと思います。皆様どうも有り難う御座いました。




 

2020年1月15日の日経新聞朝刊で「高速取引、なお『抜け穴』探し」との記事がありました。同記事では、SBI証券のSORにおいて「PTS→東証」の順番に回送する仕組みを利用するHFT業者による先回りリスクが発生する可能性を示唆しています。
このHFT業者による先回りのリスクというものは、SORという仕組みが複数市場に跨って注文を行う手法である以上、SBI証券だけでなくあらゆるSORにおいて完全に排除することは困難であります。同記事にもある通り、他のネット証券で採用されている「分割同時発注」、「分割同時到着」においても、PTSと東証に注文が到着する時間にはずれが生じ、HFT業者はそのような時間差を利用して先回りを行うことが可能といえます。また、分割して発注したとしても、実際にPTSで約定するまでに板の状況が変化し、部分的に約定することは避けられません。この場合には、残った注文が改めて東証に回送されるので、この再回送の場面においても先回りリスクが発生し得ることとなります。
更に、両手法においては、価格だけでなく株数も含めて板情報を確認して処理することから、顧客の注文を分割した上で発注するまでに相応のタイムラグが発生し、SBI証券の「PTS→東証」の順番に回送する仕組みと比べ、注文から約定までに板が変化するリスクが高いと考えられます。特に「分割同時到着」においては、意図的にPTSへの発注を遅らせることから顕著です。
このように、SORの仕組みには一長一短があり、どのSORが優れているかというのは一概に言えるものではなく、またいずれにおいてもHFT業者の先回りリスクなるものを完全に排除することはできません。一方で、複数市場が存在している現状において、一つの市場だけに取り次ぐことは顧客のより良い約定機会を奪ってしまうことから、SORという仕組みは必要不可欠なものと考えます。PTSが気配価格を提示している銘柄の大半が、取引所の価格より良いのが現実でもあります。ですから、この問題は証券会社のSORの仕組みのみならず、我が国の市場設計をどうすべきかとの大局に立って議論すべきものなのです。
そもそも、同記事にもあるように、HFT業者はリスクフリーで先回りを行うことはできません。PTSでの約定後に東証に注文が現れない可能性がありますし、仮に回送されるとしても他のHFT業者に先を越されてしまえば戦略は成り立ちません。実際、東証の取引の5割超はHFT業者が占めていると言われており、HFT業者同士でも激しい競争が繰り広げられている現状では、決して濡れ手に粟で利益が得られるということはないはずです。同記事ではHFT業者が一般投資家を食い物にする悪の存在であるかのように描かれておりますが、一方でHFT業者は市場に流動性を供給するとともに、裁定取引により市場間の価格差を平準化するという、市場が価格発見機能を果たすに際してなくてはならない存在でもあるわけです。
現在、我が国の取引の約95%は、東証に集中しております。これは、50以上の取引施設が存在し、最大級の取引所であるNYSEやNASDAQなどでもシェアが20%未満である米国と比べて極めて異様な状況であり、健全な市場間競争による資本市場全体の発展という観点から問題があると考えます。このような寡占状態の弊害として、場口銭やマーケットデータ等のコストの高止まりや、遅い約定処理速度といった形で全ての投資家が不利益を被っており、一般投資家の「貯蓄から資産形成へ」の流れを促進するためにも、複数の取引所がサービス向上のため創意工夫を凝らし、切磋琢磨していく環境を形成することが肝要です。
まとめますと、①複数市場が存在し健全な市場間競争が行われることが我が国の資本市場の高度化、延いては「貯蓄から資産形成へ」の促進に必須である、②複数市場がある以上、SORは顧客利便性の観点で必要なサービスである、③SORではHFT業者の先回りリスクは完全には排除できない一方で、複数市場がある場合にHFT業者は不可欠な存在である、というのが本件についての私の見解です。
このような前提では、証券会社個社だけでなく、各取引所、取引参加者、当局といった様々なステークホルダーが協働して時には牽制し合う必要があり、証券会社個別のSORの仕組みのみを取り上げHFT業者の先回りリスクの可能性だけを問題視することは、「木を見て森を見ず」であり、報道機関においては、読者にしっかりと「森を見せる」ことを心がけてほしいと思います。
現在、我が国においては残念ながらリアルタイムで複数市場の取引を監視したり、米国におけるNBBO(National Best Bid and Offer)のように複数市場を参照し最良気配を公表するシステムがありません。投資家にとって重要な透明性、公正性確保に資するため、SBIグループとしてそのような監視システムを導入し、取引所やPTSと協力しながら、複数市場を跨ぐ不適切な取引を排除するとともに、投資家に対して最良価格を公表することにより、市場間競争を促進し、最良執行の精度を高めていく取組みを考えております。この取組みは、将来的に公的なプラットフォームとなり、その運営に関して証券会社も参加することも考えられます。
また、SBI証券では、これまでSORを通じて①約定価格の改善効果や②取引手数料割引といったメリットを提供しており、お客様からも高い評価をいただいています。更に2019年12月28日からは、「SOR」を初期設定としながらも注文毎に「SOR」、「東証」、「PTS」から注文市場を選択して発注することができた従来の仕様に加えて、初期設定の段階で「東証」、「SOR」を選択できるように対応しました。
SBI証券及びSBIグループは、今後も顧客便益性を高め、投資家利益を追求し続け、「顧客中心主義」を徹底すべく、様々な技術革新を取り入れながら事業展開を進めていきます。




 


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