『世界経済の見通しと日本の株式・為替市場の動向』

2009年04月13日

米国経済の回復について、私はこれまで「来年の中頃」とこのブログでも申し上げて来ましたが、最近はそれよりも早い可能性があると思い始めています。従って、株式相場の回復は実体経済より6ヶ月~8ヶ月早いと思っていますので、本格的な回復は今年の秋口から暮れに掛けてくると申し上げて来ましたが、もう少し早まる可能性が出てきたと思っています。

なぜそのように思い始めたかと言えば、私が「来年の中頃」と予測を立てた時に考えていた以上に各国政府が大規模公共投資を行い始めたからです。しかも世界全体で協調して同時的に公共投資を実施していこうという動きを取っています。歴史において、今回見られたような経済政策面で世界全体の協調的な対応はなく、その効果を少し過小評価してきたかもしれないと思い返しています。特に最近の上海、ニューヨーク、東京の相場の回復状況を見ていますと、ある意味で良い方向に私の予測が間違ってくれたとも思い始めています。

日本の3市場の信用売り残が非常に膨らんで来ています。この売り残は4月3日時点で約一兆円と大変な金額に増えてきています(上段左の画像参照)。これが増加し、尚且つマーケットが上昇して行くとなれば、信用で売った人達は買い戻すという作業に入ります。そうなってきますと、急激な暴騰と言うことも先行きとして考えられます。また現在一つの攻防ラインと言われているのが、終値での日経平均株価9000円で、そのラインで必死に売ろうとしている人達とドンドンと買い上がろうとしている人達がしのぎを削っています。どちらに向かうかについては、おそらく今後の業績発表次第で決まると思っています。即ち前期(2009年3月末までの期)については織り込み済みで、むしろ今期(2009年4月~2010年3月末までの期)にどのような業績見通しをするのかが一番のポイントです。そのような意味では09年1―3月期に回復傾向があるとか、あるいは4月に入ってから順調に成長してきているとか、そのようなニュースがこれからの方向性を決めていくと考えています。3市場全体で見ると信用売り残が非常に増えていますが、攻防戦の中でマーケットは上昇しています。つまりこのまま推移して、買い手がこの勝負に勝つとすれば、一遍に踏み上げ相場になって行くことが期待できると思っています。

日本について更に言えば、政府・与党が追加的な「真水15兆円」と言われる景気対策をまとめたり、あるいは民主党が2年間で「真水21兆円」規模と言われる緊急経済対策を決めたりしています。それぞれについて実際に実施されれば、非常に大きな効果が期待できると思っています。政府・与党については、これまでの経済対策ではあまり出てこなかった、エコカーや省エネ家電への買い替えを誘導するような政策もあります。本来であれば、脱工業化社会の新しい産業構造に向けて、もっと早く行うべきことがようやく打ち出されたという側面はありますが、今回の経済対策についてはある程度評価できると思っています。

また先日もブログで書きましたが、私は中国の動向に非常に注目しています。桜のシーズンになったこともあり、中国のお客様が私のところに沢山来られましたが、その人達から中国の現状について話を聞きますと、やはり中国政府全体として本気で内需を刺激しようと動いており、今後内陸部での消費がかなり増えて来る可能性があると思っています(内陸部と沿岸部の地域経済格差は上段右の画像参照)。従って、消費財の普及度合いが未だ低水準にある内陸部での消費が増えてくれば、中国全体の消費の活性化に繋がって行くと考えられます(下段の画像参照)。中国は基本的に加工貿易を推進する中で貿易収支の拡大を図って来ましたので、日本から色々な基礎物質、あるいは基幹部品を必ず輸入しなければなりません。従って、基幹部品等を供給している日本企業の中国向けの輸出が増え始めているという事実もあり、日本経済の回復も意外と早くなる可能性があると思っています。

それから私はドル円について85円ぐらいまで円高が一気に進むと見ていましたが、最近は円安傾向で100円台に入りました。これについて私の見方のどこが間違っていたかと言えば、2つのことが考えられます。一つ目は日本経済について外需の物凄い落ち込みによる輸出企業の凋落は想定していましたが、これほどまでに内需が落ち込むとは思っていなかったことです。即ちテレビや新聞等で「景気が悪い、景気が悪い」とあまりにもネガティブニュースばかりを流したために、消費マインドを冷え込ませたと思います。景気も「気」の一つでやはりマインドに非常に左右されるものですので、朝から晩までネガティブニュースを聞かされると国民は益々消費をしなくなり、想定している以上に内需が落ち込んでしまいます。従って、想定している以上に経済成長率が落ち込み、結果として日本は欧米よりも厳しい状況となり、それが円を安くしてきた一つの理由であると考えています。二つ目は政局で「西松建設事件」を通して、海外の投資家は「日本の政治は一体どうなっているんだ?」と不信感を強め、円を売ったということです。これも円安に誘導した理由の一つであると思っています。予測は当たる時もありますし、当たらない時もありますが、今回の様に日本にとってはある意味で経済の状況をサポートするような形で外れてくれるならば、大いに結構であると思っています。



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