『野村ホールディングスの5000億円超の公募増資について』 |
2009年10月01日 |
先日突如野村ホールディングス株式会社(以下、野村HD)が5000億円超の公募増資を行うことを発表しました。前回約2800億円の公募増資(約35%のダイリューション)を行ってから約7ヶ月しか経っていないにも拘らず、ダイリューションが30%ぐらい起こる大型増資を再び実施するということです。現在のような相場のタイミングでこれほど大きなファイナンスを行うということは、一体どういうことなのでしょうか。おそらく多くの人は「野村HDはまだ落とさなければならない多くの不良債権があり、業績的に相当大きな問題を抱えているのではないか」と見たのではないかと私は思っています。何れにせよ、ただでさえ「亀井ショック」を受けて金融関連株が値下がりしている中で、金融界の証券業の雄がこのような大型増資を実施するということに対しては、『野村は余程内情が厳しいのであろう』と多くの人に理解されているようです。
今回のG20サミットでも金融機関に対する規制強化が採り上げられたことは事実ですが、以前に比べてそのトーンは下がっていると思います。ただその規制強化が実施された場合を想定しますと、幸か不幸か私どもには殆ど影響はありませんが、巨大金融機関に対しては自己資本の充実という面を中心に非常に大きな影響を及ぼす可能性があると考えられます。その意味で今回の大型増資は規制強化に対する備えという側面も一部はあるかとは思いますが、やはりこのエクイティ・ファイナンスはそう簡単に行うべきものではないと私は思っています。自己資本が著しく毀損し切羽詰まって仕方が無く実施する場合はまだしも、そうでなければやはり出来る限りは行わず、その他の資金調達手段に替えて行くべき相場環境だと思います。特に野村のような証券会社はマーケット全体について責任があるわけで、その意味でも安易なエクイティ・ファイナンスは慎むべきであると考えています。更に言えば、昨今のように株式市場が低迷し、為替が大きく円高に振れ、政権交代も起こったばかりで、未だデフレから脱却出来ていない状況下において、しかも中間決算がこれから発表されるという中で、エクイティ・ファイナンスを安易にはすべきでないと強く思っています。本来エクイティ・ファイナンスというものは、少なくとも次年度の業績について一株当たりの利益が当年度を上回って行くという非常に強い確信が持てる時に行うべきものであると私は考えています。