北尾吉孝日記

『祝!稀勢の里』

2017年3月27日 17:05

昨日私は、横綱稀勢の里が大相撲春場所千秋楽で優勝決定戦を制し、逆転優勝したことで、「怪我を押しての快挙、これぞ日本男子!」と感涙に咽び泣きました。
彼の肩のテーピングの状態から、出血が相当酷いことが窺い知れました。そうした中に正に奇跡とも言い得る勝利を果たしたということで、多くのファンが心からの敬意と祝意を表したのではないかと思います。
此処の所、稀勢の里が綱取りを果たすまでは本当に面白くない相撲が続いていました。それは一つに、モンゴル出身の三横綱が優勝が絡んでいない限り星の数を見たらどっちが勝つかと予言でき、それが的中する状況が続いていました。
此の千秋楽、鶴竜・日馬富士の取組でも最初から結果が見えていたような相撲であったわけで、全く気迫が感じられずファンが去るのも無理はなかったのではないかと思います。
ところが、此の稀勢の里といい今場所大関昇進への足場をがっちり固めた高安といい、日本勢の相撲には気迫がこもっており、見ている者が興奮しながら固唾を呑んで見守るという状況が再来したように感じられます。
昔ちょうど「若貴ブーム」の時に、これまた武蔵丸との優勝決定戦を見事制し「鬼の形相」を浮かべた貴乃花が思い出されます。あの時も怪我を負った中で貴乃花は不撓不屈の精神で勝ちました。人気が出るのはあのような勝負をやる限り当たり前だと思います。
逆に誰もが勝敗が推測できるような相撲を続けている限り、どんどんと見る人がいなくなるのも当然です。スポーツファンは基本正直だと改めて思った次第です。稀勢の里の一日も早い全快を心から祈りたいと思います。




 

株式会社日本経済新聞出版社から『成功企業に学ぶ 実践フィンテック』という本を上梓しました。明日23日より全国書店にて発売が開始されます。
本書を私は、主として学者や金融分野の評論家達が執筆されている入門書とは一線を画するものにしたいという思いから、フィンテック革命を起こそうと日夜奮闘している企業経営者達を中心に置く形にしました。
私は彼らを、此の革命を実現しようとしている戦士達と位置付けています。夫々の戦士(経営者)がどのような夢(ビジョン)を描き、それをどのような戦略と武器(技術)で具現化しようとしているのかをありのまま書いて戴くことにしました。私は編著者ということではありますが、彼らに一切の注文も愚見も申しておりません。
私自身も第1章から第2章までを執筆しましたが、それもSBIグループの経営者として極めて戦略的かつ実践的なものとしました。また、その原稿も他の執筆者に読んで貰っていません。それは私の拙い原稿を読んで、彼らが何らかの影響を受けるといけないと思ったからです。
「まえがき」を除いて全ての章の原稿は完成していたのですが、私は敢えて「まえがき」を書くのを遅らせていました。それは、此の革命が如何に我々の身近に迫っているかを示す具体的な証左が発表されるのを一日千秋の思いで待っていたからです。
その証左とは、2017年3月2日に正式発表され、翌日には内外の様々のメディアで大きく取り扱われた、あるコンソーシアムでの実証実験の成功です。国内銀行の3分の1以上にあたる47行が参加している「内外為替一元化コンソーシアム」が小口・高頻度のブロックチェーンの技術を活用した決済プラットフォーム「RCクラウド」の実証実験に成功し、年内にも商用化するということでした。
此のプラットフォームは私どもSBIのジョイントベンチャーのパートナーである米国Ripple社の次世代決済基盤をクラウド上で実装したもので、世界初のものです。之により、ほぼリアルタイムで、従来の10分の1程度の低コストでの送金も可能となります。現在、モバイルデバイス向けの「送金アプリ」を開発中で、正に「送金革命」が今年中に具現化されるということです。
もう一つの証左は、あるサービスの躍進です。ロボアドバイザーサービスを提供しているウェルスナビ社が私どものSBI証券と提携したサービスは、2017年1月末に開始して僅か20営業日で申込件数が6000口座を突破、顧客からの預かり資産は25億円にもなったのです。
此の2つの証左から、金融機関自らが新技術を逸早く取り入れ、顧客の便益を高めないと競争に敗れ生き残りが難しくなるのは必定です。
各金融機関は、今回のフィンテック革命はこれまでのインターネット革命とは比較にならない程のインパクトがあるという認識を持たなければならないと思います。何故なら我々の顧客も、従来の個別金融機関に対するロイヤリティを無視して、極めてセンシティブに自らの便益の向上に反応することは間違いないからです。
早急に変われない金融機関からはどんどん顧客が去って行き、既存の金融秩序は短期間で破壊されて行くことになるでしょう。之は世界中で同時に起きる革命であることも付け加えて置きます。
私を含めて本書を執筆した経営者達17名は今後一層、自我作古(我より古を作す)の決意を新たにし、此の革命を完逐して行くことが結果として「世の為人の為」になると確信すべきでしょう。




 

先月27日、経済産業省が「すべての部屋に鍵を掛けて報道機関などの入室を禁止するとともに、職員に対し、原則、取材を受ける際は書記係を立ち会わせて内容を報告させるなどの取材対応を通知」したとのことで、大手メディアを中心に「密室化は不信を招く」(朝日新聞社説)とか「異常な情報管制の発想」(毎日新聞社説)とかと一斉に「世耕大臣は考え直せ」(東京新聞社説)と反発しています。
今、米国を例に見ても「大統領選時、オバマが盗聴」(トランプ氏)や「トランプ氏当選のためロシアがサイバー攻撃」(CIA)等と世は情報漏洩に纏わるニュースが溢れているわけですが、言うまでもなく漏れてはいけない国家機密は何時の時代も数多あります。正に企業のインサイダー情報以上に、公表されるべき内容・タイミング等々を様々考慮し非常に注意する必要性がありましょう。
経産省が「企業の生き死にに関わるような情報を扱っているなかで、受付さえ通ればどの部屋にも出入り自由という状況になっていた」(世耕弘成経産相)というのであれば、「一定のルールを敷くのは自然なことじゃないか」(菅義偉官房長官)と私も思います。
01年の米同時多発テロに際し当時の「田中真紀子外相が国防総省の避難先を記者会見でしゃべってしまった」のは論外ですが、「透明性、可視化の時代」(小川一毎日新聞社取締役)と言って何でも彼でも公にするのではなくて、情報管理ということはある程度必要だと思います。
同時に片一方で国民の「表現の自由」(日本国憲法21条1項)から導かれる「知る権利」が侵害されてもいけませんから、経産省を一概にシャットアウトし何も漏れてこない状況にするのも問題だと思います。また現況は、中央省庁1府11省1庁の内「経産省以外に全ての部署を施錠しているところ」がないというのも事実です。
従って経産省は先ず、①漏れていい情報、②漏れてはいけない情報、③漏らすべき情報(公開するのが当たり前の情報)、といった形で情報区分を明確にすべきでしょう。その上で現行のやり方を改め、新たな方針の下、各種情報を適切に管理して行く体制を再構築すべきだと思います。




 
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