北尾吉孝日記

児童福祉について

2007年7月25日 13:55
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先日、高萩市長である草間吉夫氏の「ひとりぼっちの私が市長になった!」という本を読ませていただきました。
著者である草間氏は生まれてすぐ乳児院に預けられて、2歳から高校を卒業するまで児童養護施設で育っています。
そして紆余曲折を経て、最終的に高萩市(茨城県)の市長になったのです。
草間氏は東北福祉大学を卒業し、福祉の仕事をされていました。施設育ちの方にとって高校を卒業して大学へ行くこと、あるいは大学を卒業してから希望のところに勤めることは、なかなか困難なのです。

この本を読んで、児童福祉とはどうあるべきであるかと色々な形で考えさせられました。草間氏はその書の中で「自助、公助、共助」という言葉を出していますが、その3つの言葉の中でも「自助」という言葉を大事にされております。
施設出身の方の多くは、自分が施設出身者であることを隠していますが、それを隠している限りにおいて自助を行うのは難しいと草間氏は言われてます。
自分の過去をすべて言うこと、すなわちスピークアウトすることがスタートラインとなると仰っていますが、この発想は非常に欧米的だと思います。
従来の日本的発想ではこういったことを隠すことが普通なのです。
欧米ではキリスト教をベースとした様々な児童施設があり、社会的にもそれを援助していくシステムが出来上がっていますが、日本では篤志家が寄付する場合などが多く、そういった宗教的な部分も少ないため、社会全体として児童施設を支援していこうという気持ちが非常に薄いと思います。
例えば施設出身の方が結婚する場合、自分が施設の出身者ということを言えば、本人達は納得しても親や親戚が皆反対するという話があります。
他にも就職する場合に、保証人になってくれる人がいないという理由で就職できないということもあります。アパートを借りる時も保証人がいなくて借りれないことも多いのです。
また、施設で生活する子ども達は集団生活のための規律の中で、勉強したくても勉強できないという状況にあり、そのため一般的に施設の子ども達は成績が悪いということになってしまうという悪循環が引き起こされているのです。

こういった状況をどうやって変えていくべきでしょうか。
スピークアウト運動というものを起こすとしても、欧米ではそういったものを受け入れる素地があるのですが、日本ではそれがないと思います。
スピークアウトがマイナスにこそなれ、プラスにならないという風土があるのです。
この風土をどう変えていくか、ということでしょう。
また、児童施設では集団生活をさせるよりも、少人数にして出来るだけ家庭的な雰囲気をつくりながら、子供たちに愛情を与えていくこと。これが非常に大事であると思います。
もちろん、施設の数などの問題はありますが、児童福祉問題を考える上で子ども達にそういう愛情をいかに与えていくかということが最も重要なのです。
本当に色々なことを考えさせられて、涙をしながら草間氏の本を読ませていただきました。




 

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