北尾吉孝日記

円の今後

2007年10月22日 8:36
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10月18日の日本経済新聞にサブプライムローン問題を発端とした金融波乱の影響によって、対米証券投資が九年ぶりの流出、八月には八兆円もの流出があったとの記事がありました。
ロシア危機に揺れた98年8月以来、9年ぶりの流出ということです。

これが意味していることはドル離れであると考えています。
このドル離れは一部産油国の間では顕著に起こっていますし、中国や日本についても米国債への投資に対してこのところ抑制傾向が見られます。
そして、これとは裏腹に証券を売ったお金が、金や石油へと向かっているのです。
NYの原油先物は1バレル90ドルを超える勢いであり、NYの金も28年ぶりの水準ということで、1トロイオンス750ドルを超えるという状況になってきています。
こうした投資資金のシフトは、ドルに対する信任と密接に関わっていると思います。

また、一方でアメリカの経常収支を見ますと、赤字幅が縮小傾向になっています。
例えば、2005年の第四四半期のGDP比は6.8%でしたが、最近では5.5%程度にまで経常収支の赤字幅が縮小されてきているのです。
これは、原油価格が上昇しているにもかかわらず輸出が伸び、そして輸入の伸びが鈍化するという傾向が続いているための結果であると考えられます。
こういった状況がドルを支える要因になるのは勿論のことです。

したがいまして、ドル離れの要因と、ドルを支える要因の両方が今日の為替レートを作っているのですが、世界の余剰資金は当面はまだアメリカに流入していくように考えられます。
例えば、アメリカと産油国との関係ですと、原油価格が急上昇しているために産油国からアメリカに流入していかざるをえないでしょう。
また、元高を良しとしない中国からも当面流入してくるでしょう。
このように、減らそうとはしているもののアメリカに還流せざるを得ない資金があるために、まだ膨大な資金がアメリカに向けて入っていくでしょう。
このため、当面ドル安傾向で為替は動くでしょうが、それ程の大きな変化はないと思われます。その中で日本円が主要通貨の多くに対して極めて割安に放置されているという見方が海外でも出てきたようです。

1973年のオイルショックによって世界のお金がオイルダラーとして中東産油国に集まった後、この資金が産油国からロンドンやNYに流れていきました。
当時私が働いていた野村證券では、この資金を日本に一部還流させるべきだと考えまして、私も3ヶ月おきに中東諸国に出張し、日本株や債券を売りに行きました。
そして今、当時と同じように日本への有価証券投資をもっと産油国から引っ張り出すべきタイミングであると思います。引っ張り出す努力をすれば、動いてくると思います。
したがいまして、昔を思い出して、私自身アブダビ、ドバイ、バーレーン、クウェイト、サウジアラビア、これらの国々へ訪問しないといけないと考えているのです。

さらに中国の資金に関しても、ドル一辺倒では良くないという機運が出てきたようであり、中国政府は投資先をドル資産ばかりでなく他にも向けるための投資機関を作りました。
これは中国の大量の資金を日本に引っ張るためのチャンスですので、私も近々中国投資庁も訪問するつもりです。




 

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