北尾吉孝日記

他社決算発表の雑感①

2007年10月26日 16:07
この記事をシェアする

各社で中間期の決算発表が始まっています。
アメリカの場合は基本的には第3Qの発表ということになりますが、やはり日米問わず金融機関はサブプライムローン問題の影響を受けた企業が多かったようです。
アメリカの大手金融機関の決算を見ていますと、サブプライムローン関係から発生している損失の大きさに改めて驚かされます。

なぜ、これほどまでの損失が発生したのか。
前にも少し書きましたが、改めて分析をしたいと思います。

アメリカ特有のプロフェッショナリズム尊重という企業文化では、それぞれの分野にそれぞれのスペシャリストが存在します。
ですから、アメリカでは「木を見て森を見ず」という傾向が非常に強いのです。
金融債権の分野で言いますと、例えば「僕は住宅債券専門」とか「私は財務証券専門」といったように、債券だけでも専門分野ごとに分かれています。
そして、ある分野が儲かりそうだとなると、その分野のキーマンを中心としたチームごとまとめて採用してしまう傾向が、大手のインベスメントバンカーにはあります。
もちろん、非常に高額での採用です。
雇われたチームは、得意とするビジネスにおいて儲けられる時に徹底的に儲けます。
そして、その儲けの一部が自分の所得として反映する、といった仕組みになっているのです。

マクロ経済的にあるいはセミマクロ的に見た場合、あるセクションが近い将来危ういということは、見る人が見れば当然分かるのですが、経営トップがそのセクションにブレーキをかけられるのかといいますと、それがなかなか出来ないのです。
今まで貢献してきたチームに対して自分がブレーキかけてしまったら、そのチームごと会社から出ていってしまうかもしれないこと、これが一つあります。
そしてもう一つは、たとえ経営トップであったとしても、専門分野に口を出せる程の自分は専門家ではないということがあるのです。
したがいまして、多くの場合、経営トップはセクションに対して口を出せません。
ですから、こういった企業は儲けられる時はとことん儲け、莫大な収益を上げますが、今回のようなことになりますと、莫大な損失を出してしまうのです。
これはアメリカの組織における一つの特徴とも言えます。

また、一流のインベスメントバンカーは様々な分野で一流のプロフェッショナルを雇っていますので撤退するのも多少早くなります。
そして儲けられる時にはうんと儲けていますので、その後大きく損をしてもそれに耐えられるのですが、こうした一流のインベストメントバンカーに出遅れた企業は問題です。
こういった企業は一流よりも劣った専門家を雇っていて、買っている商品も質の悪いものが多い上、撤退も遅くなる場合が多いです。
ですから大損をし、こうした問題に耐えることが出来ず、倒産または買収されるということになります。

今回のサブプライムローン問題のようなケースは、プロフェッショナリズム尊重というアメリカ特有の企業文化において、起こりやすい現象の一つと言えるのです。




 

(任意/公開)
(任意/非公開)



Copyright © SBI Holdings, inc. All rights reserved.