北尾吉孝日記

『行政不況の声』

2008年2月19日 10:37
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現在の日本の不況について、「行政不況」という言い方をする人が多くなってきました。
相場を見ますと、例えば1月22日にNYダウが大幅に下落しましたが、この日にニューヨークのダウは昨年の最高値14,164ドルから15.5%下落しています。
そして日経平均は昨年の最高値18,261円から比べると実に31.2%も落ちています。
香港では日本と同じくらいで31.2%、上海で29%程度の下落となっています。
ですから、世界同時株安の傾向で世界中が下落しているように思う方が多いと思われますが、日本のマーケットは昨年1~12月で見ても11.2%も下がっているのです。
そのことを考慮しますと、他のマーケットは上げ過ぎの感があったところでアメリカに激震が起こったということもあり、その反動での大幅下落も頷けるところですが、日本だけはずっと下落傾向にある中で更に大幅下落が起こったということです。
これはマクロ的に見て、明らかに日本経済がおかしくなっているということの証左であると考えられます。

では「行政不況」の根拠としてどのようなことが挙げられるのか。
例えば建築基準法改正の結果として確認申請が下りなくなり、住宅着工件数が大幅に下がってきています。
他には昨年施行された金融商品取引法について「金融取引抑制法だ」という声を聞くことがあります。
確かに金融商品取引法には消費者保護・投資家保護という大義名分があるのですが、金融機関は今まで以上に神経過敏状況になり、いい商品でも顧客に勧められないような状況になっているのです。
またJ-SOX法の施行もその一つです。
アメリカでも「止めたほうがいい」、「悪法だ」と言われている法律をこのような状況下で施行するでしょうか。
確かにメリットも多く存在するのですが、このJ-SOX法のために企業側に膨大な費用が発生することを考えますと、費用を切り詰めながら公開へ向けて頑張っているベンチャー企業に対して公開のストップをかけられることが予想されます。
そうなりますと、日本では上場しないでシンガポールやロンドンのAIM市場で上場するベンチャー企業が増えてくるかもしれません。
これでは日本の経済を活性化させるのは益々難しくなるでしょう。

このまま放って置いてもデフレからの脱却は確実に当面できないだろうと思います。
したがいまして、もともと高くは無い金利ですが、これは一刻も早く下げるべきでしょうし、場合によってはまた量的緩和でさえ必要ではないかと考えています。
日本のマーケットがこれだけ反応しないということは、外国人が日本に愛想を尽かしているということなのですが、これには上記のような理由があるのだと思います。

消費者保護や投資家保護も重要なことですが、それによって他に与える影響を忘れては意味がありません。
例えばグレーゾーン金利についても、最高裁での違法判決が出たことで廃止の方向が決まりましたが、何故このようなグレーゾーン金利を長い間を維持させてきたのか、これは行政の最大の責任ではないでしょうか。
裁判所で結論が出る前に、時間をかけて出来ることがあったのではないかと思います。
突然グレーゾーン金利が禁止となると、それまで業績を伸ばしてきた消費者金融は膨大な赤字決算となり、業界では倒産する企業すら多く出てきてしまったのです。
更に、これまで消費者金融を頻繁に利用していた人々の多くが今まで通りに借りられなくなり、これはこれで問題だと言えます。
こうした社会的な問題については、一方的な視点からではなく、色々な角度から見た上で考えていかなければならないと思います。
改善するのであればゆっくり時間をかけて大きな影響が出ないようにすべきでしょう。




 

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