北尾吉孝日記

『事業の撤退について①』

2008年2月22日 12:45
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先日、東芝がHD-DVD事業からの撤退を表明しました。
撤退することはある意味で事業を始めることよりはるかに難しいことです。
しかし、勝ち目の無い事業を続けていても意味がありませんので、このような決断を下さなければいけない時があると思います。
撤退によって被る損失は最小限に留めなくてはならないでしょうし、従業員のモチベーションを下げないことにも注意しなければなりません。
これをうまく処理していくことは、非常に難しいことだと思います。

今回の東芝の撤退を見ていますと、ベータマックスとVHSの規格競争を思い出します。
あの時は東芝陣営の勝利でしたが、今回は逆となりました。
こういった規格競争の場合、消費者側の視点からしますと、どうして最初から話し合って一つの規格で始められないのかと疑問に感じると思います。
しかし、競合するそれぞれの企業が自信を持って新しい商品を作った場合、実際に競争してどちらがシェアを取るのか結果を見る以外に結論の出しようがありません。
どちらの企業からしても勝つか負けるかわからないという場合、もはや話し合う余地は最初から無いということです。
そして、遅かれ早かれどちらかが勝利し、どちらかが敗北するのです。
今回の例を見ますと、かなり競争が長引いたように感じるのですが、東芝としましてはかなり苦渋の決断であったと思います。

今回のケースで一番考えなければいけないことは消費者のことです。
既にHD-DVDを購入している消費者がたくさんいますので、その方々にこれからどうやって補償をしていくのかという問題が残り続けるのです。
8年間は部品の取り置きをするということになっていますが、修理期間が延長されたり、場合によっては修理が不可能なケースもあるかもしれません。
こうして消費者にツケが回ってしまうことが一番の心配だと思います。

既にお亡くなりになられましたが、坪内寿夫(ひさお,1914~1999)さんという方はその昔「再建王」とか「船舶王」あるいは「四国の大将」と呼ばれ、小説(柴田錬三郎の『大将』のモデルにもなりました。
その方のインタビューをテレビで見る機会があったのですが、坪内さんは「撤退が一番難しい」と仰っていました。
どうやってその損失を少なく撤退するかというお話をされておりましたが、それは今でも記憶に残っています。
「コスト削減」の為に如何に人をグループ他社に移すかとか、「組織の簡略化」とか、様々なことを学ばせてもらった記憶があります。




 

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