北尾吉孝日記

この記事をシェアする

サブプライムローンの問題は、今後3~6ヶ月ぐらい世界各国の実体経済にネガティブな影響を持続するような様相を呈しております。しかし、この問題自体は、特に目新しいことでもないと私は考えています。例えば、日本でも住宅抵当証券の問題が起こり、住宅金融専門会社以外の金融機関も相当痛みを負い、その後の山一證券株式会社など大手金融機関の破綻につながり、日本の金融市場において大きなダメージとなったことはご承知のとおりです。当時、我々は日本国内の問題として、今回のようなことを既に経験しており、今回の場合は、そのスケールと世界に対する影響度に大きな違いがあったというのが私の認識です。

では、今回のこの米国発の問題は何であったのかと言えば、即ちサブプライムローンという低所得者層に対する高リスクの変動金利型住宅ローンが、証券化されレバレッジを効かされグローバルに売買流通されたということであります。そして、そうした金融商品が米国の金利引き上げとともに暴落したのです。結果は世界中の多くの金融機関に深刻な打撃を与えたのです。

資本主義経済では、上述したような金融の世界に端を発したturmoil(ターモイル)は、常に起こり得るのであります。ジョン・K・ガルブレイスが『バブルの物語』という著書に「暴落の前に(金融の)天才がいる」という副題をつけています。英語では「Financial Genius is Before the Fall.」です。そしてバブルは必ず崩壊するのです。例えばジョージ・ソロスのカンタムファンドが背後で動いた1997年のアジア通貨危機、また1929年のThe Great Crashでさえもある意味でユニット型投資信託の成長と株式相場の大暴落を契機として、大恐慌が生じたわけです。

しかし、アジア通貨危機での教訓により、現在1997年的な形でファンドが世界的な通貨危機のきっかけを作ったり、ファンドの収益のために、一種の市場操作的なモメンタムを引き起こすというようなことは、非常に難しくなっていると思います。

また、現在1929年的な意味での大恐慌が再び生じるかといえば、それは人類の英知により、起こり得ないような状況になってきています。様々な金融・財政政策も機動的に発動される上、不景気であっても色々な形で個人所得が大幅に減少しないように、社会的な救済手段として、一種の保険制度が確立されてきているからです。

でも、今後も別の高リスクの新しい金融商品でこのようなことは起こり得る問題であるということが、私の見方です。これまでの歴史的に有名な金融バブルの形成は、常にその時々の新しい金融商品と結び付いてきました。

もう一つ私の雑感を書き加えますと、私は今回の問題により、数千億から数兆円の損失を計上した欧米の金融機関が、破綻せずに生き残ったことに大変驚いたということです。日本の金融機関であれば、立ち行かなくなるケースも数多く出て来たであろう損失額ですが、これまでの収益力の高さによる自己資本の厚さ、政府系ファンド(Sovereign Wealth Funds)を中心とした世界中からの出資により、日本のように政府が救済しなくても破綻を免れることが出来たところが多かったと思います。逆説的な言い方ではありますが、今回の問題から、欧米の主要金融機関の凄さを改めて感じました。




 

(任意/公開)
(任意/非公開)



Copyright © SBI Holdings, inc. All rights reserved.