北尾吉孝日記

『適者生存』

2008年9月18日 18:06
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先日、偶然知人と会いましたが、その際「どうですか最近の事業は?」と私が問うたところ、「サバイバルゲームです。」と言っておられました。私はこのサバイバルゲームという言葉が妙に印象に残り、ある言葉を思い出しました。それは「適者生存(Survival of the Fittest)」という言葉です。ダーウィンの「進化論」に触発されたハーバート・スペンサーという英国の哲学者が「社会進化論」を唱え、「適者生存」という言葉を作りましたが、このthe Fittestになり、サバイバルゲームに勝ち抜くためにどうすれば良いかについて、2つのことを再認識しました。

一つは、環境変化を先取りすることです。恐竜はまさに変化を先取り出来ず、氷河期に入って絶滅するしかなかったわけですが、対照的にアブラムシは今日まで生き残っています。つまり、環境変化に耐えていこうとすれば、変化を先取りし、備えていくしかないということです。『韓非子』の中に、「事異なれば即ち備え変ず」という言葉があります。状況が変わってくれば、それに対する準備も当然変わらなければいけません。昔の成功体験に安穏としていると生き残れないのです。

そのような環境変化の中で、私どもはどのようなことをしてきたのかと言えば、例えば2005年の国際収支統計において、所得収支が貿易収支を上回った瞬間に、貿易立国の終焉を認識し、投資活動の主力を海外に移すことを決断しました。それからまだ3年と少しの年月を経ただけですが、アジア圏や東欧圏など、ほぼ全世界の主要な成長著しい諸国に対して、投資活動を行うための布石がまもなく完了します。そうでもしなければ、この1Qにたった3件しかIPOがないような日本のマーケットで、ベンチャーキャピタルとして収益を上げていくことは非常に難しいのです。何事にも全て兆しがあります。『韓非子』に「端を見て以って末を知る」という言葉がありますが、その2005年の微かなる兆候に気がつかなければ、変化への対応は出来ないのであります。

生き残るためのもう一つの手は、変化を受け止め、変化に順応し、変化の中で生きていく方策を見つけることにあります。例えば、昨年から続くこの強烈な下げ相場において、私はそれを受け止め、「次の新しいファンドには、公開した株を15%~20%ぐらい入れるようにしなさい」と商品設計の責任者に指示しました。「陰極まれば陽、陽極まれば陰」というように、マーケットというのは、下がれば必ず反転して上がってきます。この2年ぐらいの間に公開して、公募価格を大幅に下回っている銘柄が続出していますが、いずれマーケットが立ち上がってくれば、すぐ回復してくると考えています。これも昔の成功体験に固執し、「ベンチャーキャピタルファンドはプライベートエクイティに投資すべきである」としていたら、暫くの間、何にも稼ぐ事が出来ないでしょう。このように変化に順応し、変化の中で生きていく方策を見つけない限り、このサバイバルゲームを勝ち抜けないのであります。




 

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