北尾吉孝日記

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先日リーマン・ブラザーズが破綻しましたが、これはある程度予想されていたことです。そしてメリルリンチが商業銀行に買われるだろうということも、ある程度予想できました。
一方、AIGについても前々から破綻の噂が流れていたのですが、この場合はリーマン・ブラザーズとは比較にならないほど甚大な影響を世界経済に及ぼすことが予想されており、より慎重な対応が求められたことでしょう。

既にAIGがサブプライムの損失として処理した金額は約330億ドルでしたが、まだモーゲージバックドセキュリティ(MBS)がらみで、今後さらに大きな損失を招くことも確実視されていました。そういう意味でも今回のように政府による9兆円の資金投入ということは、市場を支えるという意味で世界中に良い効果をもたらしたと言えましょう。

しかしこれで終わったかというと、そうではないと思います。次に控えているのがUBSだとの噂もあります。これに関しては先日EU政府からも心配は無いという旨のコメントが出されていましたが、実際のところはまだクエスチョンの状況という見方が多く、多くの関係者が疑心暗鬼になっているようです。

数ヶ月前にウォール・ストリート・ジャーナルに『インベストメントバンクはすべてコマーシャルバンクに買われるか合併するだろう』という旨の記事が出ていたのですが、まさにその通りの状況になってきています。いずれにしましても、モラルハザードを避ける意味からも公的資金の注入はできるだけ避けるというのがアメリカ政府の基本的態度であり、今後は、外部からの資本調達や国内の金融機関との合併によって再編されていくことでしょう。その意味ではAIGの場合は余程のことだったと考えられるわけですが、リーマンとAIGを同時に救済するということは流石にモラルハザードの面からも難しいと考えたのだと思います。先のベアスターンズの件では、政府は間に入りながら、JPモルガン・チェースに持っていったのですが、間に入って仲介の労をとったということでしょう。

今回の件で、アメリカにおいて二つのことが大きく変化してくるでしょう。一つはドルの信認がさらに低下し、ドルの唯一の基軸通貨としての地位が崩れ、当面ユーロとの二国基軸体制になるでしょう。もう一つは銀証分離をしていたグラス・スティーガル法が実質的に無意味となり、ヨーロッパのようなユーロバンキング体制がより進むでしょう。

本来コマーシャル銀行はrisk takerではなく、risk averterですので、リスクを取るインベストメントバンカーとはかなりカルチャーが異なり、同化すると従来のインベストメントバンカーの良さがなくなるような気がします。




 

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