北尾吉孝日記

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今回の対応を見ておりますと、日本の90年代のバブル崩壊後の金融機関の状況を思い出し、アメリカ政府の対応の早さに非常に感心します。日本はバブル経済崩壊の後始末をするのに10年以上の歳月が掛かりました。それに対してアメリカはサブプライムローンの問題が出てきた去年の7月頃からわずか1年と少しでほとんどの決着がついてきたように思います。もちろん、まだまだ潰れる会社は出てくるかと思いますが、今後の75兆円にのぼる公的資金の支出について議会の承認を受ければ、ほとんど決着したと言えるでしょう。

この時間の差はどういうことかと言いますと、各金融機関が実損だけでなく予想される損失を明白にしたということにあります。アメリカ政府は早々に損失の実体をオープンにして早い処理を促しました。一方、日本の場合はいつまで経っても実体を発表せず、発表のたびに損失が膨らんでいくような状況を作り出しました。このような政府や金融機関の対応の差がこのような差となって現れてくるのです。

しかし、前回の日記でも述べたようにこのサブプライムローンの一件が米ドルの信認を非常に低下させたということは否めません。基軸通貨としてのドルの地位はますます低下し、ユーロの地位が相対的に上がってきますので、外貨準備についてもユーロを保有するウェートが大きくなってくることでしょう。そうなってきますと、この状況の中で莫大なドルを保有している日本政府には疑問を持たざるを得ません。日本政府は100兆円を超えるような莫大な外貨保有をしており、まるでアメリカの従属国のような形で米ドルの買い支えをやり続けていますが、もっと国益も考えていく必要があるのではないかと思っています。

今回のAIGの件でも中国政府はアメリカ政府に対して、AIGを救うことを強力に要請したと聞きます。おそらくAIGの破綻がもたらす被害を察知してのことでしょう。それに対して、日本政府はそういった行動は何もせず、市場に対して米ドルの資金供給を行うばかりです。それでは日本円は強くなるはずもありませんし、この日本という国の国力は下がる一方になってしまうだろうと思います。

こうした状況下で我々は次の戦略を考えていかなければなりませんが、私としましては、今の状況を色々なアセットを安く買うことができるある意味でのチャンスかもしれないと判断しています。

野村の今回の買収は、うまく行くことをOBとしては望んでいます。昔山一証券が破綻した時にメリルリンチが買収し、統合しましたが、2~3年で人は雲散霧消しました。結局箱を買っただけになりました。このような結果にならないということを祈っています。




 

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