北尾吉孝日記

『日本の農業』

2008年9月30日 9:43
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米国が環太平洋4カ国によるFTA(自由貿易協定)に全面参加し、日本抜きで経済圏を構築する可能性があると一部報道されていましたが、そのようになることは非常に由々しき事態であると思っています(※1)。
なぜなら、そのアジア・太平洋地域における自由貿易の枠組みに、日本が加わらないことになれば、日本の将来的な経済的利益が大いに損なわれる可能性があるからです。ではなぜ日本がその枠組みから外れているかと言えば、基本的には日本の農家を代表する自民党の一部の議員が票を獲得するために、政策決定過程において出来うる限りの圧力をかけ、農産品の市場開放に抵抗し続けているからであります。

もちろん日本にとっての大事な側面として、食料自給率の問題はあります(日本の2006年度の食料自給率は39%)。今後食料の値段は、相当程度上がることが予測されています。その要因として幾つか考えられますが、一つには世界的な人口の増加が挙げられます。2050年には、2005年の人口と比較して40%以上増えると予測されています。

また二つ目として、現在の食料輸出国が工業化し、経済発展していくことが挙げられます。その中で今後は、農業分野のGDP比率のウェイトが下がっていくと共に、第一産業から、第二次産業、第三次産業へと人が移っていくことになると思われます。これは経済発展の中で、ある面で避けられない現象ではありますが、そのような状況が世界中で起きてくると、食料の値段が高騰する一方で、食料不足に陥る可能性があると考えられます。従って、日本として食料自給率をある程度維持しなければならない立場も片方で分かりますが、しかし、片方で自由貿易の枠組みから上述したような形で除外される側面もあり、非常に難しい問題であると思います。

そのような中で日本の農業が進むべき道としては、近代化を行い、生産性を高めることではないかと思います。国内の状況を見れば、特に最近は中国の野菜や農薬の問題がクローズアップされていますので、安全志向・高級志向が強い日本人は、有機野菜や無農薬野菜を大変よく買っています。従って、日本は国全体として、近代農法により国際競争力のある良質・高品質な農産品の生産を拡大するという、一つの方向性を持ってはどうかと考えています。現在のように、地元の議員が農家の票を獲得するために、低生産性の農業を一生懸命守り、また国策としてもそれが遂行されるということは、日本全体の将来にとって、非常に厄介な問題であると思います。

農業の部分でも、工業の部分でも生産性を向上させ、差別化するということは、同じであると思います。そのようなことを行う中で、農業が十分な所得を得られるようにし、日本の農産品の市場を開放しても、決して日本産が売れなくならないような状況にしなければなりません。

かつて韓国製や台湾製の商品が、今のBRICs諸国のように、安売り攻勢で日本を席巻しようとしてきたことがあります。その動きに対して日本はどうしたかと言えば、研究開発により新しい物を作り出し、新しい需要を創出して、既存商品を陳腐化させました。そして、古い物の値段を大幅に下げることで、攻勢を掛ける海外勢に太刀打ちしていきました。また、海外市場でもそのような新製品の開発に注力し、日本のマーケットに安売り攻勢を掛けて来た海外勢を駆逐することが出来ました。日本は工業の部分で、そのようなことを行い、勝ち抜いてきましたので、農業の部分でもそのようなことを行い勝ち抜くべきであると考えています。

農産品のために、工業品を含む自由貿易協定から日本が外されるということは、非常に由々しき事態であると思っています。一部の権益を擁護するために、現状を維持しながら値段を守るということは決してやるべきでありません。日本は食料自給率を40%以上に高めるための施策を国家ヴィジョンとして打ち立てると共に、近代農法への転換により生産性を向上させるような努力も同時に行うべきであると考えています。

参考
※1:http://www.nikkei.co.jp/news/keizai/20080921AT3S2000I20092008.html





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  1. 農家になるには厳しいルールがあるのを御存じだと思います
    若い人がたとえ都心を離れて農家をやろうと思っても
    「継ぐ」ことしかできないといって差し支えありません

    つまり
    「起業」の野心をもっていたとしても
    歯が立たないというわけなのですね
    保守性の縮図なわけなのです

    一方で経済というのは
    あまり意識されることはありませんが
    「モノを買う」=「お金を売る」ことなのですね

    自分の要らないものに価値をつけて
    お金を売ってもらうのが経済です

    タレントがサインをちゃちゃっと書いて
    それを競りに出してみると
    勝手に向こうが価値をつけて
    お金を売ってくれるわけなのです

    「自社製品はいらない」という格言があります
    北尾さんレベルになると余裕でご存知でしょう

    「ボーナスは自社製品です」といわれると
    ほとんどの人がいらないと感じるのです

    自分たちは、自分たちが要らないものに
    価値を賦与して売り出すわけなのですね

    タレントは自分のサインなんていらないんです

    閑話休題
    農家にとって米はいらないかもしれませんが
    必要最低な部分があります

    「自社製品」と「生活必需品」であるわけです
    これが「車の部品」と「お米」の差異

    様々な制度もあり
    農業政治家たちも大切にしてくれる
    そんな保守的な農業を変えるには

    まず農家に住みつく腐敗政治家を棄て
    制度を見直していく必要があるように思います



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