北尾吉孝日記

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現在のような危機的状況になってきますと、物の見方・考え方として常識的なものは通用しないかもしれない、ということを頭に入れておかなくてはいけません。別に奇策を弄するわけではありませんが、発想の仕方を少し変えてみる必要性があると思っています。そうすることで違う世界が見えてきて、活路を見出すことにつながると考えています。

例えば経済政策で言えば、今世界中の国々は金利を下げていますが、それは金融政策の常套手段であると思います。しかし、日本では1989年末に株式市場がピークを付け、1990年に不動産市況がピークを付けた後は、まさに失われた10年(THE LOST DECADE)どころか、10数年に渡り経済は停滞し続けました。そして1999年からは戦後に先進諸国のどの国も経験したことがない対前年消費者物価上昇率が下落するというデフレになりました。また、実質経済成長率も極めて停滞している状況が長く続いてきました。

そのような時に日本の政策当局者が何をしていたか。それは金利水準をゼロまで下げた上、量的緩和政策まで実施して何とか輸出を伸ばそうとしました。その結果、確かに輸出は伸びましたが、我々の暮らしがそれで良くなったか、あるいは日本経済がデフレから完全に脱却できたのかを考えますと、大いに疑問があります。

そして、今年10月末の金融政策決定会合では世界各国の中央銀行の利下げに同調する形で利下げを決め、もはや下げる余地がほとんど無い水準にまで下げました。現在は欧米諸国も金利を下げ始めていますので、金利差が円安に働く要素はほとんど無いと言えるでしょう。これから先を見ますと欧米諸国、特に欧州はさらに金利を下げると思います。そして、米国は量的緩和政策も実施していくことになるでしょう。従って、日本の政策当局者は「ゼロ金利にして欧米諸国との金利差を作ることで円が弱くなり輸出を助けるというシナリオ」が現状全て崩れているということをまずは認識しなければいけないと思います。

ではどうするのかと言えば、まずは10数年に渡り超低金利を継続しているという異常な低金利政策をやめるべきであると私は考えています。世帯の純金融資産残高は約1100兆円ありますので、仮に金利を3%上げますと約33兆円、そしてそれが20%課税されるとすれば約26兆円のお金が消費者に入ることになります。現政権は家計の緊急支援のためにおよそ2兆円を支給するということですが、この約26兆円の方が内需刺激により大きな意味があると思います。日本の消費はトータルでおよそ300兆円ですが、その約9%にあたるお金が国民に入り、内需を刺激することが出来ます。外需に頼れない現状において、それが最も適切な内需刺激策であると考えています。しかし、政策当局者でそのようなことを議論する人は誰もいません。世界の動きに合わせて利下げを行っているという、それだけのことであります。私はそのようなことではダメだと思っています。

会社経営も同じような部分があります。他社の動きは基本的に関係ありません。私どもは私どもの信じることに勇気を持って挑戦していく、それだけのことであります。そこではもちろん理論武装をしなければいけませんが、それをしっかりとして、正しいと思うことを推進していく、それこそがこのような危機的状況において有効ではないかと私は感じています。従って、私どもSBIグループは今後もそのような姿勢で積極的にビジネスを展開していきたいと考えています。




 

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