北尾吉孝日記

『ハンガリーより帰国して』

2008年12月22日 15:52
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12月14日にハンガリーに向けて出発しましたが、直行便がないのでドイツのフランクフルト経由でブダペストに到着しました。自宅を出てからブダペスト入りするまでに要した時間は約22時間でした。私は通常でも睡眠時間は大体4時間ですが、長旅になりますと1時間半から2時間ぐらいで、大体いつもの半分以下になります。今回の出張では月曜日の早朝からMFB Invest Ltd.とその100%親会社であるHungarian Development BankのCEO達との会議に始まり、また30名を越す記者が国内外から集まる中、ハンガリーの経済大臣と共に記者会見にも臨みました。私もショートスピーチを行い、その後質問を1時間くらい受けましたが、大変注目を集めた記者会見であったと思います。今回SBIという社名をあれだけ沢山の記者が新聞や雑誌に次々と書いてくれて、ヨーロッパ全土に亘る宣伝広告を行うことが出来たという意味でも非常に良かったと思っています。

なぜこのように関心が高かったかについてお話ししますと、それは一つにハンガリーという国がある意味破綻状態に陥ったことにあると思います。10月後半に外貨不足から株式が大暴落し、また通貨フォリントも大暴落していくという状況になり、結果として国自体が対外債務を払いきれないような状況でした。すなわち外国人がハンガリーに入れていた資金が国外に逃げていく中で株価が暴落し、自国通貨であるフォリントの価値が大幅に下落するといった状況で自国の対外債務をファイナンス出来なくなりました。そこで慌てて政府はIMF、世界銀行、そして、ECBから総額で約250億ドルの融資を受けましたが、その際には各機関から様々な制限条項を付けられました。例えば財政上の規律を厳しく求められることで、公務員給与や年金の減額・中止を行うこと等々、国民に非常に痛みが伴うことを要求されることになりました。

ではなぜそのような国に私どもが投資をするのか。私はハンガリーという国は陰の極にあると考えています。「陰極まれば陽、陽極まれば陰」というように、この国はまさに陽に転ずると思っています。ちょうど1997年のアジア通貨危機の時、韓国も今のハンガリーと同様に厳しい制限条項を受け入れることでIMFからの支援を受けました。その後韓国は見事に再生できたわけですが、実はその当時私はソフトバンク株式会社に在籍しており、韓国の銀行が安くなったところで金を入れ、結果において非常に大きな利益を生み出しました。事程左様に外資が引き上げるタイミングで、今回私どもがハンガリーに入っていくことは理に適っています。私どもは慌ててすぐに投資を始めるわけではありません。来年の経済成長は実質でマイナス3%ぐらいになると想定されていますので、状況を見ながら投資を行いたいと考えています。現在のように各銀行がベンチャー企業の面倒を見る余裕がない環境下では、私どもが物凄いバーゲニングパワーを持つことが出来ます。可能な限り安く仕入れることが出来れば、それが金を産む卵に将来変わっていくと私は信じています。

前回の日記で少し書きましたが、麻生さんはIMFに1000億ドル規模の資金を拠出することを緊急金融サミット開催前に表明しましたが、私ならば「日本政府としてハンガリーに対して直接1兆円を拠出します」というような意思決定をすると思います。そのようにすれば、日本国民に対するありがたみは全然違ってくると思っています。IMFに資金を出して、厳しい制限条項の受け入れ条件にどの国の拠出金かも分からない金が入ったところで、ハンガリー国民は全く評価しないと思います。日本はどこかを援助するのであれば、IMFなどは通さずに助けることも一つの在り方だと考えています。今までの日本のODAは全く効果がない資金の出し方でした。資金を拠出する以上、費用対効果を十分に考えなくてはなりませんし、まして今これだけ日本国民が苦しんでいる状況において、約1000億ドル(約10兆円)もの金を無責任な方法で拠出してしまう麻生さんは、総理としての器を問われるべきだと思っています。




 

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