北尾吉孝日記

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対外通貨に対する為替レートを決定する要素は幾つかあります。一つ目は相対的金利の位置関係。二つ目は両国の財政収支の状況。三つ目は両国の経常収支が黒字なのか赤字なのか、それがどの程度なのか、また過去と比較して増加しているのか減少しているのかといった問題、あるいはその国が既に純債権国か純債務国かということ。四つ目は短期的な資本移動をもたらすなんらかの理由があるかどうかということ。幾つか挙げるとすれば、これらが考えられるかと思います。

先日出張したハンガリーはtwin-deficit(双子の赤字:経常収支と財政収支の赤字)ですので、それが大きなマイナス原因の一つとして、ある意味破綻状態へと導いたと考えられます。米国と日本について言えば、これから最も大事になることは経常収支と財政収支がどうなるかということです。既に米国も日本もゼロ金利状態で日米の金利差はほとんどありません。財政収支はどちらの国も非常に危機的な状況であり、米国はこれから破綻状況になっていくと思いますし、日本は既になっていると言えます。日本は800兆円を超える程の巨額の財政赤字を抱えていて、まだそれが増加傾向にあることから、やはりある意味破綻した状況であると考えられます。そのような意味において財政状況は一緒ですが経常収支は日本の方がベターですので、これが為替レートを円高に進めていく要素になり得ると思います。

私は85円台まで円高が進むということを以前からこの日記にも明記していましたが、現在は89~90円台で推移しています。これから向こう半年ぐらいを見た場合、85円台を頻繁につけるような為替レートになると思いますし、下手をすれば瞬間的には70円台に突入する可能性すらあると思っています。こうなりますと日本の輸出産業は壊滅的な打撃を受けます。従って、外需に対して日本が何も出来ないことを考えますと、やはり内需を刺激する以外に打つ手はありません。これについても私は金利を上げるべきであるという議論を以前からしておりますが、それ以外で内需刺激策を挙げるとすれば、大幅な財政赤字を覚悟してでも公共支出を増やしていくことが考えられます。その場合、大事なことはそれが何に使われるのかということです。私は新しい産業を育成するための国家ビジョンに基づいてその公共投資を行うべきであると前々から主張してきました。もし実際に思い切った投資が行われれば、財政赤字が大幅に拡大していきますので、少しは円安要因が強まってくることになると思います。

日本の輸出産業が置かれている厳しい環境を踏まえますと、内需を刺激することを第一に考えるべきであると思います。その方法は申し上げた通り二つありまして、一つは非常にドラスティックではありますが利上げを行い預金者の可処分所得を増やしていくこと、もう一つは中期的な視野に立ち、日本の新産業育成に向けた国家ビジョンに基づく公共投資を行うことです。大変厳しい状況ではありますが、我々の選択肢は限られているのではないかと思っています。




 

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