北尾吉孝日記

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株式会社致知出版社(以下、致知出版社)から『君子を目指せ小人になるな』という本を上梓しました。昨日より全国書店にて発売開始されています。致知出版社によると、古めかしい東洋哲学、中国古典から学んだ人間学の観点から書いた前著『何のために働くのか』は14万部ぐらい売れているとのことです。今回はそれ以上の販売が期待出来るほどであると言ってくれています。

本書では『論語』に百回ぐらい出てくる、孔子が描いていたであろう『君子』の人物像を『小人』と対比しながら、出来るだけ分かり易く述べたつもりです。また、この本の副題を「私の古典ノート」としているのは、孔子が孔子塾ともいえる学塾で学徒三千人を育てようとした「君子」とは如何なる人間で、そしてそのような「君子」が今の日本において如何に必要とされるかということに関心を持ち私が中国の古典を色々と読んで勉強してきた内容だからです。孔子の「君子」という言葉で象徴される人物の涵養こそが、今の日本には希求されていると確信しています。

戦後六十余年を経て、現在の日本は政治、経済に限らず色々な面で危機的様相に陥ってしまいました。何故こうなってしまったかと言えば、以前から一貫して申し上げている通り、私はマッカーサー占領軍の日本弱体化政策すなわち一切の歴史・伝統や精神的なもの、日本的なものを排除していこうという政策が大成功した結果であると考えています。近年は親殺し、子殺し、児童虐待、老人虐待、自殺の増加といった新しいタイプの社会問題も顕在化してきていますが、現在の日本社会が抱えている様々な問題の根本原因は、戦後日本の教育にあると私は考えています。

戦後の教育には、道徳的見識を育てる人間学という学問が欠落していました。今日の若者に、日本の高等教育で戦後軽視されてきた古典的教養を身に付けさせることは、人間と人世の実践的原理・原則を学ぶ上で不可欠であると思います。従って、我々は国を挙げて道徳教育を主眼とした人物の養成に取り組まねばなりませんし、また戦後教育にどっぷり漬かった若者達は人間学の学習と知行合一的な修養により自己人物を練らねばなりません。そして精神・道徳・人間の内的革命を遂行し、『君子』への道に確かな一歩を踏み出していかねばなりません。

私自身も君子を目指して日々修養している身ですが、この混乱している社会を立て直すためには、一人ひとりが君子になろうと志し、日々の生活態度を見直し、改めることが一番の近道になると考えています。是非とも本書をご一読頂き、その上でご自身の『君子』のイメージを作っていただきたい。そして毎日の仕事や日常生活の中で折に触れ、自分の言動と自分の『君子』のイメージを比べてもらいたい。比べた結果そのイメージとずれていたら、イメージに合うようご自身の言動、態度等を修正していっていただきたい。こうしたことを何年も続けていくことが重要だと思っています。

子どもたちに、あるいはまだ見ぬ子孫のために、健全な社会を残し、よりよき生き方を伝えていくことは、今を生きる者の責務です。その務めを果たすための方法を、祖先の残した古典という叡智を借りて考えていきたい。それが本書の目的とするところです。この本を皆様のよりよき人生の糧として活用していただきたいと強く思います。




 

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