北尾吉孝日記

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世の中不況一色という感じであります。朝テレビのニュースを聞けば、やれ「派遣村」でどうしたこうした、やれどこどこの会社の営業利益が大幅な赤字になったなど、次から次とネガティブニュースばかりが流れているという感じです。この間ある放送関係の会社幹部と話をする機会がありましたが、私から「あなたのところで、聞いた人が元気になる番組を製作されたらどうですか。毎日毎日ネガティブなニュースばかりです。世の中にはポジティブなニュースもあると思いますが、いかがですか。」と尋ねたところ、彼は「私もそう思っています。」と答えました。それを受けて私は「思われるなら是非そうして頂きたい。」と言いました。

元気も景気も「気」が付くものは全て心の持ち方に関わりますので、やはりこれを変えていくことが改善に向けた一つの大きな要素だと思います。やはり病気になっても、治そうという気力を持ち、その病気に対して良い事をやり続けるということがとても大事です。病気の改善も薬は二番目であって、一番目は気力です。景気についてもマインドに非常に左右されるものですので、朝から晩までネガティブニュースを聞かされると国民は益々消費をしなくなり、貯蓄へという方向になります。

先週火曜日に第34回経済界大賞の発表がありました。今回は劇団四季代表の浅利慶太さんが経済界大賞に選ばれました。また特別賞には中村ブレイス株式会社が選出され、敢闘賞には小田急電鉄株式会社など6社が選ばれました。私はたまたま経済界のアドバイザリーボードのメンバーでしたので、キッコーマン株式会社代表取締役会長の茂木友三郎さんなどと一緒にその授賞式の壇上に上がりましたが、今回入賞された会社は皆それぞれこの不況期に大いに頑張っている、大変元気な会社であると感じました。そしてまた単にマネーメイキングが上手かどうかではなく、「このような形で社会に貢献するんだ」という明確な意思を持ち、それを長年続けて来た結果として、この賞を各社が頂いたのであろうと思っています。従って、このようなことも含めて、大いに元気がつくような話題をテレビや新聞等々にも出すことが必要ではないかという気がしています。

今世界中で消費が落ち込んでいます。「この不況が一体いつまで続くのか、自分の雇用は大丈夫か」というようなことが心配で消費を控え、それが経済全体を更に悪くしています。日本は消費が増えない状況が、バブル崩壊後10年以上続いています。この状況を何とか打破しなければいけませんが、政府は不況対策として最も愚策と言われている2兆円のばら撒き給付を実施しようとしています。「このような政策で消費が増えるとは思わない」と大多数の国民が思っているという結果が出ているにも関わらず、自民党は強引に推し進めようとしています。このようなことも消費マインドを低下させる一つの要素だと考えています。

そもそも麻生首相が「100年に1度の経済危機である」と述べること自体も如何なものかと思います。むしろ日本にとって「100年に1度の好機である」というぐらいのことを言えば全くスタンスが変わって来ます。なぜそうなのかと言えば、それは第一に今回の金融経済危機とは米国発であり、米国が最も大きな影響を受けて、その次に欧州が大きな影響を受けているという事実があるからです。これは欧州独自の住宅バブルの崩壊(特に英国とスペイン)が重なったことによりますが、ある意味日本はそのような欧米の状況からは隔離されていて、直接的な打撃を被っているわけではありません。

二番目として、日本は経常収支が黒字で保有外貨資産残高も約1兆ドルであり、また1400兆円の個人金融資産も持っていますので、財政赤字という部分はもちろんありますが、ある意味健全な状況にあると言えるからです。また日本の金融システムについて言えば、一部の金融機関、例えばCDOやCDSを多く保有していた農林中央金庫などは今回の金融経済危機の中で大打撃を被っていますが、それはあくまで一部金融機関のことであります。もちろん株式の下落で保有株の評価損を被っているところはたくさんありますが、金融システムとしては極めて健全であると思います。最後に三番目として、日本は21世紀において飛躍するであろうアジア圏に、しかも今日までリーダーとして位置しているからです。やりようによってはこのアジア圏のリーダーとして、今後も中国やインド、あるいはその他の国々に大きな影響を与えながら君臨できる地位にあるということです。

このようなことを考えて見ますと、現在の危機的状況は一概に悪い話とは言い切れないと思います。むしろ日本はこの好機に、例えばソブリン・ウエルス・ファンド(SWF)を早急に作り、これから高度経済成長を遂げていくであろう国々の安くなった株式に積極的に投資をすることが必要ではないかと思います。あまりにも無為無策、やることは愚策という麻生政権ではどうしようもありません。一刻も早い政権の交代と安定的な政治がなされることを切に願って止みません。




 

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