北尾吉孝日記

『英国は終わったか』

2009年2月9日 10:13
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30年程前に私がケンブリッジ大学に留学していた時、英国はサッチャー政権以前の時代で、所謂「英国病」が蔓延していた頃でした。その時に日本の大蔵省から派遣されて隣のカレッジに留学していた杉本和行氏(現財務省事務次官)とは、「英国病をどのように克服して、英国は立ち直ることが出来るのか」といったことを、ビールを飲みながらよく議論したものです。そのような経験を通して、現在の英国の状況を見てみますと、今また第二の英国病が始まったような気がしています。

今英国が危機的状況にあるのは、単に米国から病気が伝染しただけではなく、英国独自の原因があるように思います。それは巨大な住宅バブルの崩壊です。そういった中でロンドン・シティの金融機関は、大変ネガティブな影響を受け、壊滅的とはまだ言えませんが、重篤な症状に陥っています。かつての英国は北海油田とシティ再興によって、英国病から回復できたと、私は思っています。今回はその片方のシティが、非常に大きな打撃を被りました。そして英国も日本と同様に、それ以外の産業があまり育っていないという部分もあります。従って、このような状況の中で、先月下旬には1985年以来の最低水準となる1ポンド=1.35ドルを付けるなど、ポンドは非常に安くなっています。

英国は輸入が非常に多いので、ポンド安が物価にまともに反映してきます。これは政治の不安定化に繋がっていく可能性がありますので、おそらく今後ブラウン英首相は非常に難しい状況になるのではないかと思っています。また、今後ポンドがどのように推移するかに関しては、どちらかと言えば下値を模索していく動きを想定しています。それに対応する為替介入の資金も不足していますので、先行きは大変厳しいと思います。著名投資家のジム・ロジャーズ氏が「英国は終わった」と発言して、ブラウン英首相が激怒されたようですが、永久とは言わないまでも、当面は「終わった」と言われても仕方がない状況が続くのではないかと、実は私自身もそのように感じています。




 

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