北尾吉孝日記

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輸出関連企業の中には、「1円円高になると、いくら営業利益がマイナスになる」ということを表明、または日経新聞等が報道している企業が結構あります。しかし日本全体として見ますと、名目GDPに対する輸出の比率、即ち輸出依存度はおよそ15%程度にしか過ぎず、むしろ個人消費が約56%を占めています。日本はバブルが崩壊して以降、これまで輸出を頼みの綱として経済回復を遂げようとして来ました。そのために日銀及び政府が政策的に行ったことは、超低金利政策でありました。つまり金利水準をゼロまで下げることで、日米、日欧の金利差を大きくし、円を不当に安くするという政策を10数年に渡り継続して来ました。ところがここに来て、米国も欧州も世界経済危機の中で、金利を大幅に下げており、米国においてはほぼゼロ金利状態にまで来ました。従って、日米の金利差がほぼ無くなった現況においては、円が当然のこととして強くなって来たということですが、本当に円高が悪いかどうかについては、国民としてよく考えるべきだと思っています。

上記の通り、日本の輸出依存度は十数%でありますので、内需を刺激するためには、むしろ円高の方が良いのではないか、という議論があってしかるべきです。日本は食料自給率が約40%、エネルギー自給率が5%程度と輸入に大きく頼っていますので、これらの輸入品は円高で全て安くなります。従って、やはりこの円高を利用して、国民の消費を喚起すべきであると私は考えています。現在のような経済環境になりますと所謂「ユニクロ現象」が起こり、消費者は安価で価値ある物に移っていきます。例えば、ユニクロのカシミヤセーターなどはほとんど中国製です。そのような価値あるものを安く作って安く提供することで、そこにデザイン性も加わりユニクロの商品は売れるのであります。現在はやはり、そのようなことを考えていくべきタイミングに来ているのではないか、と思っています。

また財政出動について言えば、経済の現状に鑑みれば公共投資は積極的にやるべきです。もちろん将来の日本がよってたつ産業を想定し、新しい国家ビジョンを策定した上で、その方向に沿った公共投資でなければならないということは言うまでもないことです。日本は既に840兆円を超える財政赤字があります。しかしこれは米国と異なり、その国債のおよそ92%は日本国民によって引き受けられています。米国国債については日本や中国など、海外の国々が多くを引き受けています。つまり海外の国々が引き受けている以上は、アメリカで財政赤字がどんどん拡大してくると、そうした国々もドルの信認が低下しますからそれ以上引き受けられない状況になっていきます。また売却するかもしれません。その一方で、日本は政府の金融資産だけで約550兆円もあり純債務額であれば驚くほどのことではありません。数十兆円の国債を発行しても、円の信任が低下しないのです。
見過されている経済政策の最後は「株価対策」です。現在のような世界経済危機の中で、日本が不況を脱出するためには、銀行の貸し渋りを解消しなければいけません。銀行は株価が下がったために自己資本を毀損し、そのために貸し出しを抑制してきました。株価を上げることはその面から非常に重要なのです。




 

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