北尾吉孝日記

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ドイツで「バッドバンク」の設立が検討されていると報じられています(※1)。これは悪いアセットだけを切り離して、良質なアセットを持ったグッドバンクと悪いものだけを持ったバッドバンクを設立することであります。なぜそうするのかと言えば、両方が一緒にあると生き残ることが出来ないからであります。これは我々企業においては、昔からあるアイデアです。そして現在は政府がこのようなことを検討し始めており、とりわけ金融機関において、良質なアセットは健全な形にして生き残らせようとしています。

米国では1-3月期の決算予想において、例えばAIGが強烈な赤字になりそうですし、あるいはCitigroupやBank of Americaも大変厳しい状況に置かれています。このような中で様々な代表的金融機関の株価が、この3月の決算を締める前に大暴落をしています。AIGは既に国有化されたも同然でありますが、Citigroupについても国有化の話すら出てきています。バッドバンクを設立することで存続させることが出来なくなれば、最終的にはこのように国有化されて行くことになります。バッドバンクとは、いずれ潰れることが決められた運命であり、切り離した部分は損という形で潰してしまう、ということが基本的な形であります。しかし、現在の米国には、それすらも出来なくなるという状況に突入している金融機関があるように思われます。

毎日のように金融機関の株価が下落する中で、その金融機関をパッケージにして売っている「空売り屋」が世界中で今随分と誕生してきています。米国の金融機関の株価が下がれば、日本の金融機関の株価も下がるだろうとして、それをパッケージにして売ってくる空売り屋が今日本やヨーロッパで跋扈している状況です。ある意味で日本の金融機関ほど株安に大きな影響を受けるところはありません。もし日経平均が4000円まで下がれば、日本のメガバンクは生き残れないかもしれないという試算もあります。それくらい日本の銀行は株式の持ち合いの中で、大変な額の株式を保有しています。結局はそれを評価損として計上しなければならず、それが自己資本を毀損することになり、延いては貸し剥がしが行われていきます。そして、そのようなことにより、日本の金融システム全体がおかしくなって行く可能性があります。

従って、今日本政府が実施すべきことは株価対策であります。株式投資にかかわる税制(例えば配当の二重課税の問題)についてもそうですし、あるいは韓国では既に実施しているらしいですが、PKO(Price Keeping Operation)すなわち公的機関が市場から株を買うということなども考えざるを得ないような状況になってきていると思います。今この日本において、銀行が持ち合いによって株式を持ち過ぎていることが、株式市況の大幅下落により金融システムの崩壊に繋がって行きかねないということを、私は大変憂慮しております。

参考
※1:独州立銀行、「バッドバンク」の共同設立を検討=独版FT紙




 

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