北尾吉孝日記

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2008年10-12月期の日本経済のGDPは、年率換算でマイナス12.7%と35年ぶりの落ち込みとなりました。このような現状にも関わらず、麻生政権は実体経済への実質的効果の少ない愚策の2兆円のバラマキですら、未だもって決定できない状況で、この非常時において政治のリーダーシップ不在であると言っても過言でないでしょう。また今は急を要する公共投資を中心とした内需即刺激型の経済政策を大胆に打ち出すことが望まれる状況ではありますが、合わせて当然政府として長期に亘る成長戦略も議論しなければなりません。

小泉政権の時には骨太の成長戦略として、2%のGDPの成長を目指すことを掲げ、その為の施策もそれなりに語られていました。一方で麻生政権においては、骨太の成長戦略など微塵も語られていません。企業も同じでありますが、今のように悪い時にどう対処するかという目先のことと合わせて、やはり常に夢を持たなければいけません。そのビジョンを常に掲げていなければなりません。国においても、それと同じことだと思っています。来る選挙を経て、もし民主党が政権をとった場合は、長期成長戦略としてのビジョンを掲げるべきであります。総理として危急の時に何もしない麻生さんは、酒を飲んで寝ているような中川さんを盟友として可愛がり、主要ポストに起用していた。この責任は非常に重いことを自覚して、本来ならばその責任をとって即刻辞任すべきであります。世界各国に対して、日本人がこれほどの恥を示したことを、私は聞いたことがありません。今回のオバマ大統領の訪問を見ていても冷遇されているとしか思われません。アメリカもあきれているんでしょう。

中国は矢継ぎ早に様々な内需刺激策を打ち出しました。4兆元の内需刺激策を始め、幸いインフレの心配が無くなったこともあって、金融緩和策も打ち出しており、中国経済は実はここのところ回復の兆しが見え始めているといったことまで言われ始めました。中国の様々な投資先の人間や中国におけるファンドのパートナーと話してみますと、中国については非常に強い期待感が持てる状況になっています。その証拠に香港H株も中国に本社を置く企業の株価はジワジワと上がって来ています。そのような意味で、私は中国を牽引役とした形でアジア経済が伸びて行くだろうと考えています。

米国は今ドルが比較的堅調になってきています。このドル買いの一因は、米国の輸入が大幅に減って、経常収支の赤字が減少していることです。経常収支の赤字の減少とは、消費が大幅に落ち込んでいることを意味しています。また、今まで米国人が全く気にしてこなかった貯蓄率も増え始めています。普通の国であれば、これは正常な方向に進んでいると言えますが、米国の場合はこれが行き進めば、世界経済全体に十分なドルが供給されなくなってしまいます。そして、結果としてドル不足が世界中で起こり、ドルが高くなるというおかしなことが起こってきます。またもやそのようなことで、米国が世界経済の混乱の主因を作り出すかもしれないことが今懸念され始めています。

他方、米国の財政収支(今後の為替の動きに大きく影響する可能性がある)は大幅な赤字でありますが、それに対してオバマ大統領は財政赤字を半減させることを表明しています。そういう意味では米国の打手が、一時的にではあると思いますが、今度はドルを強くすることになってきています。もちろん現在の円安・ドル高については、日本の経済が外需依存だったため、諸外国の購買力の落ち込みでGDPが大きく落ち込んできていることや結果として貿易収支、所得収支とも悪化して日本の経済収支が大きくマイナスになっていることも大きな要因です。

何れにせよ、ドルが過剰な状況を生み出したり、ドルが世界全体の貿易量の拡大に見合う形で増えて来ないような状況を生み出したりすることで、世界経済に対して不安定性を与えるような現在のドルの基軸通貨体制について、世界各国が今一度集まって議論をする時期に来ているのではないかと、私は思っています。




 

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