北尾吉孝日記

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このところ、また円が少し強含みで推移し始めました。振り返って見ますと、円が弱くなり始めたタイミングは、クリントン国務長官が来日し、その後オバマ大統領から麻生さんがホワイトハウスに招待されて以降であります。それについて市場で噂されていたことは、多額な財政赤字に陥るであろうファイナンスのために発行される米国債の引き受けを、日本が米国から頼まれたということです。そして、その依頼に対して、麻生さんは二つ返事で乗ったという噂です。それが理由で、昨今のように円が急激に安くなったと市場では見られていました。

日本の場合は財政赤字と言っても、その国債のおよそ92%は日本国民によって引き受けられています。しかし、米国の今後数年に亘る巨大な財政赤字は、基本的に海外の投資家が米国債を買うという形でファイナンスされていくしか方法はありません。中でも主に海外の政府が買い、それを外貨準備にしていきます。まさにそれが溜まったのが日本であり、およそ1兆ドルの外貨準備のうち、約5800億ドルは米国債であると言われています。中国もこれまで大量に国債を買ってきましたが、最近は非常に慎重になっており、出来るだけ国債は買わず、保有しているものも少しずつ売却していこうとしています。中国は日本のようには従順でなく、表面的には米国に対して、親米的な対応をしながら、実質的には片方で国債を売ったり、買わなかったりするのかもしれません。

ところが最近は日本の政情とも関係して、円が少し高くなり始めました。それは麻生さんがオバマ大統領に何を約束しようとも、自民党政権自体が終焉するかもしれないと思われているからです。今回の事件が「国策捜査」かどうか私は知りません。しかし、行政もどちらかと言えば自民党をサポートするということでやって来ましたので、「おそらく民主党の主張するような側面もあるのではないか」との思いが国民の一部の中に抱かれているのも無理なかろうかと思います。何れにせよ事件後の世論調査でも、次期首相としての支持は小沢さんが麻生さんを上回っていますし、比例区での支持政党については民主党が自民党にかなりの差をつけています。その様なことが自民党政権の終焉を予見させ、円高に向かっている一つの理由であると、市場関係者の一部では考えられています。米国が日本や中国等からファイナンス出来ないとすれば、ドルは外国為替市場においてその価値を切り下げていくことが理論上は想定されます。

中国に関して言えばある面で非常に賢くて、この不況が終わった時のことを考え、将来の経済成長を支えていく希少資源を押さえたり、あるいは将来のために食料を確保して行こうと、既に様々なことを世界中で行い始めています。例えば、今のうちに資源国の資源会社の株式を買ったり、あるいは長期に亘る資源国との供給契約を結んだりしています。一方で日本は、長期的な視野から物事を考えて、実施していないことが非常に残念でなりません。




 

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