北尾吉孝日記

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昨日、一昨日と急遽北京に行かなければならない用事が出来まして、1泊で北京に出張して来ました。北京の状況をお会いした方から聞いたり、あるいはこの目で見ましたが、全く活気を失っておらず、非常に活力が漲っているように見えました。おそらく輸出企業が集中している地域ではそうではないと思いますが、少なくとも北京の街の雰囲気は非常に活気に溢れ、不景気などと言うものは全く感じられませんでした。今回の出張を経て、中国が世界経済危機を脱却するための推進力になることは、ほぼ間違いないだろうという印象を持ちました。

中国の金融界について言えば、非常に健全な状況で動いているという話を聞きました。他方、ガイトナー財務長官の発言を聞いていますと、この先米国の銀行は下記の三パターンになるのではないかと考えています。一つ目がゴールドマン・サックスのように受け入れた公的資金を出来るだけ早く返済しようとする動きで、バンク・オブ・アメリカもそれに追随するように早期返済の意向を示しています。二つ目が公的資金を返済したくてもそれが出来ず、また政府として、もはやどうにもならないと判断された銀行が国有化されて行くという動きです。三つ目は今年に入り既に20行の銀行が破綻しましたが、小さな銀行を潰して行くという動きです。メリハリを付けるという意味において、このような三つのパターンになって行くと思っています。

そして、米国はまた新たに雁字搦めの規制も発表し始めています。ゴールドマン・サックスやモルガン・スタンレーのように銀行持株会社に転換したところは、当然その対象になりますが、ヘッジファンドについても悪の根源のように捉えられ、これを登録制として情報を整理して行こうとしています。それだけ米国の金融システム全体において、病巣が深いということだと思います。

中国人民銀行の周総裁がIMF(国際通貨基金)のSDR(特別引出権)制度の拡充を提案しました(※1)。これに対してガイトナー財務長官は、本音としてはドルの基軸通貨体制を維持して行きたいとしながらも、ドルの信認がかなり低下していくことは否定できないと内心思っているのだと、私は思います。そのような状況の中でSDRという提案も出てきますし、中国政府もドルを基軸通貨として、ドルの債券を買うと片方で言いながら、自分たちの資産価値を落としたくないと片方で言っています。「基軸通貨を発行する国だけで世界に流動性を提供すると同時に、通貨価値を安定させることはできない」と周総裁が言っていますが、中国としては片方でリップサービスをしながら、やはりあまりドルの債券を買わなかったりするのかもしれません。また中国が元を世界通貨の一つにしていきたいという思惑を持っていることは間違いないと思います。そのために元の前にSDR制度の拡充を訴え、その仲間入りを果たした上で元のウェイトを高めていこうと言う考えが見え隠れしています。

CBO(米連邦議会予算事務局)の試算によれば、米国は2009会計年度での財政赤字が1兆8000億ドルと、従来の政府試算を約930億ドルも上回る見通しであり、その後についても約1兆ドルの財政赤字が短くとも数年間続くとされています。その場合、日本のように国債の約92%を国内で消化できる国と違い、海外に国債の購入を依存する米国にとっては、ドルの信認問題がこれから益々大きな問題としてクローズアップされて来ると考えています。従って、為替については、ボラティリティの高い相場になるのではないかと思っています。

参考
※1:http://www.nikkei.co.jp/news/main/20090325AT2M2504D25032009.html




 

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