北尾吉孝日記

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米国債の長期金利は昨年12月18日終値の2.07%から3.83%(6月18日終値)にまで上昇しましたが(画像参照)、その背景としては2009会計年度で1兆8250億ドル、2010会計年度で1兆4300億ドルに達するとされる巨額の財政赤字があると思っています。また2010年~2019年までの財政赤字総額は9兆ドルを超えるとも言われており、その中で長期金利は上昇していく可能性が高いと考えられます(※1)。
そのような状況においてドルの信認は揺らぎ始めており、例えばSDR建てで発行される公算が高いIMF債の引き受けを中国やロシア等が表明したり(※2)、BRICsによる初の公式首脳会議が行われ「世界経済の変化を反映した国際金融制度の改革を進める」ことを柱とする共同声明が採択されたり(※3)、あるいは4月末の中国の米国債保有残高が10カ月ぶりに減少したりと(※4)、BRICsがドル離れを進めているように思われます。こうした動きはこれから益々出てくる可能性があり、今まさにドルは正念場を迎えつつあるのではないかと考えています。

このような中でオバマ大統領が今後どうしてもやらなければならないことは、大きく二つあるであろうと私は考えています。一つ目はドル基軸通貨体制の維持です。米国を中心とした一つの資本主義経済体制の枠組みの根幹部分はドル基軸通貨体制でありましたが、オバマ政権からは現在の体制を何としても維持しようという意欲が見られます。一昨日も金融規制改革案を発表しましたが
(※5)、通貨の自己増殖機能を色々な形で抑え、実体経済と金融経済の乖離を出来るだけ少なくしていこうとする決意の表れであると私は見ています。
そして、もう一つは米国経済全体を活性化させていくために中間層を再生していくことです。米国共和党政権は「自由」という大義名分の下、金持ち優遇政策により富裕層と貧困層の二極化を作り出して中間層を崩壊させましたが、オバマ民主党政権はそれを修正していこうとしています。即ち今一度中間層を作り出そうと、富裕層の税金を上げる一方で、中間層に対しては所得税を減らしたり、あるいは様々な補助金を与えていくという風に政策を転換しようとしています。
日本も所謂「小泉・竹中コンビ」の時期における経済政策のあり方として、レーガン・サッチャー時代から続く自由主義的市場原理主義と言うようなものを導入し、結果としてある意味米国と同様に非常に不平等な所得分布の二極化の傾向が出てきました。それについては次期政権を民主党が担うことになれば、その部分における政策等において大きな変化が出てくるのではないかと私は思っています。「一部の富裕層と一部の貧困層、そして大多数の中間層」という所得分布のあり方こそが、社会として最も安定性があり、ある面で活力がある状況だと私は基本的に考えていますが、そのような社会を目指して日本もチェンジすべきであると思っています。

参考
※1:2010年度米財政赤字は137兆8500億円に=議会予算局
※2:http://www.business-i.jp/news/bb-page/news/200906120021a.nwc
※3:http://sankei.jp.msn.com/world/europe/090617/erp0906170044000-n1.htm
※4:http://www.nikkei.co.jp/china/news/index.aspx?n=AS2M1602M%2016062009
※5:http://bit.ly/rT033J




 

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