北尾吉孝日記

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一昨日鳩山政権が正式に始動しましたが、その閣僚の顔ぶれを見てみますと、その殆どがよく見慣れた顔であり、その意味では党内の政策通、あるいはこれまで党において主導的な役割を演じて来た人たちが大臣ポストに任命されたと言う印象を私は持ちました。これまでの自民党政権下では大臣就任時点での発言で株価や為替が動くと言うことは殆どありませんでしたが、例えば「亀井発言」は金融機関の株式、特に銀行を中心に売らせることに繋がりましたし、「藤井発言」は円高を加速させることになりました。
また歴代の政権はある意味「無難な政権」であらゆる事柄において継続性を重視した無難な政権運営を行って来ましたので、例えば八ッ場ダムの建設中止について、マニフェストにも書かれていたことなので中止の方針であろうとは思っていましたが、前原国土交通相が就任早々それを明言したことを聞いて、改めて政権交代と言うものを私は認識しました。
そして外交について言えば、岡田外務大臣が日米間の密約を徹底調査するよう薮中外務事務次官に命じたことが報道されていましたが、この調査により密約が明らかになった場合、その事実によって岡田外務大臣はこれまで自民党が国民を欺いて来たと言うことを伝えたいのでしょうか。岡田外務大臣は「国民の理解と信頼に基づく外交を実現」するためと表明していましたが、その過去の密約を徹底的に暴いて行った場合に、それが今後の日米関係にどのような影響を与えると考えているのでしょうか。私は過去の密約よりもむしろ今後の日米関係がどうなって行くのかを若干懸念していますので、「岡田外交」への期待が半分以上ある反面、限りなく半分に近い位の不安も彼の発言を聞いていますと持たざるを得ない状況でありました。

今後注目すべき事として、まずは「国家戦略室」なるものが一体如何なる機能を具体的に果たして行くのかが一つあると思っています。鳩山総理からも何をする組織なのかについて漠然とは語られていますが、具体的にどのような機能を果たし、財務省とどのように連携して行くのかに関しては具体的になってはいません。その点について、今後注視する必要性があると思っています。
それから政策形成過程において官僚と内閣との関係が具体的にどのようになって行くのかもウォッチしなければなりません。「脱官僚」「政治主導」と言うスローガンは良いですが、その結果として優秀な学生たちが就職の対象として考えないような官僚組織になってしまうのか、あるいは優秀な官僚を上手に使いこなし彼らを活かして行くことになるのか、その辺を今後は注目して行きたいと思っています。

国家公務員の天下り等、誰が考えても税の無駄に繋がって行く問題がこれまで沢山ありましたが、その解決法としてやはり政権交代が必要であると私は思い、政権交代が実現されることをこれまで強く望んで来ました。しかし以前ブログで指摘した通り(選挙結果に関する所感と民主党政権に期待すること)、今回あまりにも民主党が勝ち過ぎたことで、国会において拮抗した中で喧々諤々の議論を行い、法案が磨かれて行くと言う状況が作られ難くなってしまったと思っています。現在のように日本の進むべき道が非常に見え難い中ではやはり議論を出来る限り尽くし、多くの英知を結集して所謂正反合の世界を作っていくことが必要であると考えています。そのためにも自民党には是非頑張ってもらいたいとは思いますが、もし次の参議院議員選挙で自民党がまた大敗し、民主党が両院で絶対安定多数と言う局面になりますと、十分な議論を経ないまま様々な法案が次々と通ってしまう可能性があると思っています。その点に関しても、私は非常に危惧しています。

例えば亀井金融・郵政問題担当相が中小零細企業に対して3年間支払いを猶予すると発言しましたが、それを実施した場合に金融機関が中小零細企業に金を貸さなくなる可能性が出てきますし、あるいはその3年の猶予期間に金利分だけを中小零細企業に負担させる場合、金融機関に生じるコストを一体誰が補填するのかと言う問題が出て来ます。従って、議席数さえあれば何でも出来ると言うような発想で、法廷闘争になり得る可能性すらある私企業の利益を剥奪すると言う非常に難しい問題を処理すべきではないと私は考えています。日本郵政の西川社長に辞めてもらうことは出来ると思いますし、過去に成立した法律を廃止することも出来るかもしれませんが、一部の人たちのために私企業の利益を剥奪すると言う法案を通したとしても本当にそれが許されるかについて私は疑問に思っています。金融の世界は非常にセンシティブな世界であり、またその法律そのものが憲法違反になり得る可能性もありますので、そのような部分についてもう少し吟味をして述べるべき発言であったと私は思っています。




 

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