北尾吉孝日記

『戦略を練るということ』

2009年9月25日 9:33
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シルバーウィーク中は2泊3日で神戸に帰り、大阪にある天龍院というお寺で御先祖の墓供養をして来ました。その後東京に帰って来て、新入社員の課題レポートも含めて貯まっている本や書類を読みふけっていました。またSBIグループの次の一手については今まさに考えなければならない局面に来ていると認識しており、その戦略を練っていました。
考えてみますと、先日野村證券株式会社がジョインベスト証券株式会社を合併することを発表しましたが、結局戦略とは行き当たりばったりであってはいけないということであり、今回の件を一つの反省材料として、それを持って他山の石としなければならないと思いました。基本的に戦略を練ると言うことは長期的な視野に立ち、どのような事業をどのタイミングでどのような形でスタートすべきかと言うことを常に考えることが非常に重要であると改めて思いました。またその他の重要な戦略上のポイントは既存事業について現在の問題点を全て洗い出し、尚且つ近未来に予測される事業環境を様々な角度から検討して更なる飛躍に持って行くことを考えるとか、あるいは既存事業について想定していたよりも事業環境が悪化しており、近未来を考えても良くなる見込みが無い場合は速やかに撤退させることを考える等があると思います。
私どものグループについて言えば、一つはグループ会社が沢山ありますので、事業ポートフォリオを全体としてどのようにしていくのかということを常に考えなくてはなりません。もう一つは事業ポートフォリオの中に如何なる強力なシナジーをどのようにして発揮させるかということを様々な角度から検討することが大変重要であると考えています。今やそのような形で戦略を練ることを国の内外で行わなければなりませんので、私は時間が幾らあっても足りません。

更に言えばこの戦略を練るということは、よくある参謀本部のように、様々な人の色々な意見の寄せ集めで中々結論が出せない、「議して決せず」と言うような状態になってはいけないと思います。やはりトップたる者、自らが戦略を立て、その最大の当事者でなくてはなりません。そしてその為には、誰かに任せて説明だけを聞いて終わりと言う姿勢ではなく、様々な情報を全て深く理解しなければならないと思っています。どの世界であろうとも本来はこのようにあるべきはずですが、今やそのようなトップが段々と少なくなって来ていると思います。例えば一つの事業部に長年所属して社長になった人が会社全体を十分に把握出来ているかと言えば、中々難しいことであると思っています。つまり所謂「大企業のサラリーマン社長」は、基本的に自分が所属していた事業部のことだけを把握していて、自社の全体的な事業環境については十分に分かっていないのではないかと私は思っています。私のように全事業を自ら作り上げて来なければ、会社の全てを把握出来ませんし、把握していなければ他の人に事業を任せなければなりません。「任せる」ということは非常に大事なことではありますが、「知って任せること」と「知らないで任せること」は全然違います。先ほど述べた通り、少なくとも自社の過去・現在・近未来の状況を誰よりも知っていなければ、無責任な経営判断を下すことになってしまうと思っています。
逆に言えば私自身についても、一人で会社の全てを把握することがどこかの時点で不可能になって来ると思っています。現在は二千数百人の従業員数の規模ですのである程度全分野を把握出来ていますが100倍の二十数万人の規模に拡大したらどうなるのか、あるいは海外事業の全てについても全てに的確な判断が出来る程把握しているのかという問題があると思っています。また色々な方に「今はお元気ですから良いですが、北尾さんの身に何かあったらどうなるんですか?」と言われることが多く、それが私どもグループの最大のリスクであるとも言われていますが、そのことについては私自身も認識しています。従って、経営の仕方についても今回の休暇中に色々と考えることになりました。まぁ私の使っている時間というか、生きている時間というか、とにかくその時間の殆どが思索の時間ではありますが…。




 

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