北尾吉孝日記

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先日発表した通り、当社の所有するSBIアクサ生命保険株式会社(以下、SBIアクサ生命)の発行済株式の全部を、アクサジャパンホールディング株式会社(以下、アクサジャパンホールディング)に譲渡する株式譲渡契約をアクサジャパンホールディングとの間で締結しました。

今回のことは日本で生命保険業をリアルで展開しているアクサジャパンホールディングが、ネットでマイノリティーのシェアを持ちながら同業を展開するということの難しさが出てきたということだと私は思っています。つまりアクサジャパンホールディングは100%の株式を所有しているアクサ生命保険株式会社の事業を展開する一方で、40%を出資するSBIアクサ生命の保険商品における自社の保険商品との競合問題を意識せざるを得なかったということです。従って、SBIアクサ生命の事業が上手く行けば行く程、このような商品戦略上の難しさが出てくるということがありました。またそれに加えて、アクサジャパンホールディングのトップがSBIアクサ生命の創設から今日までに4人も代わり、そのような中で経営の意思というものが初期の頃から随分変わってきたという状況もありました。
そのような状況において、何れか単一のオーナーの下でより明確な経営戦略に基づきSBIアクサ生命が今後運営されることが望ましいという認識で両社が合意し、両社協議の中で今回の結論に至りました。今回の株式譲渡に伴う当社の業績に与える影響について言えば、キャッシュとしての実損は極めて少なく、連結上は今期8億円程度の特別利益計上を見込んでいます。

以前ブログで申し上げたとおり、生命保険業の「スイッチング・コスト」は損害保険業の「スイッチング・コスト」より遥かに大きく、例えば1年に1度見直しをする自動車保険のそれとは全く違うものと思われます。要するに、例えば日本生命保険相互会社が提供する保険商品に10年以上入っている人が、他社の保険料が安いからと言って、すぐに他社の保険商品にのりかえるのかという意味での「スイッチング・コスト」が相当掛かるということです。従って、インターネットとの相性が決して良いとは言えない生命保険業においては、新規でお客様を取り込むことは中々難しく、業容の拡大に多大な時間とコストを費やすことになると私は考えています。
ただ一つ申し上げておきたいことは、当社は今回ネット生命保険事業を全て売却したわけですが、今後その事業に参入しないという方針を決めたわけではありません。時間は掛かるかもしれませんが、あらゆる金融商品は将来的に全てネットで販売されるようになるという強い確信を私は持っていますので、基本的には何れその事業に再び参入しようと思っています。

当社はネット銀行、ネット損保、ネット生保をある程度同時期に集中した形で立ち上げてきましたが、「リーマンショック」が起こるという大変な時期を乗り越え、住信SBIネット銀行株式会社は既に黒字化されていますし(2010年3月期3Q累計:17.8億円)、SBI損害保険株式会社も大変なスピードで成長していますので、あと1~1.5年ぐらいで黒字化出来る目処がついてきました。新たな生命保険事業に関しては、これらの事業に加え、色々な手を打ったことで明るい見通しが大分出てきたSBIカード株式会社について一段落したところで、じっくりと時間を掛けて最高のものを創り上げていきたいと思っています。今後1年間は準備期間として生命保険業に関して様々なことを更に勉強する期間とする予定ですが、その後適当なタイミングで、今度は当社の100%子会社を設立した上で再挑戦したいと思っています。





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  1. 初めまして。こんにちは。今回のネット生命保険事業売却に関して、SBIがアクサの持分を買い取ってSBIが全て自前でやるという選択肢はなかったのでしょうか?アクサはネット生保を自前でやっていくにしても、アクサ生命保険の商品と競合することには変わりはないと思われます。最近の日経新聞でも取り上げられていましたが、これからネット生保の時代が始まると思われる時に、先駆者のSBIさんが撤退したことが今一つ解せないでいます。将来再び参入の可能性も示唆しておられますが、その頃はネット生保間の競争が更に激化している可能性があります。だとすると今回先行者利益を捨ててまで撤退してしまったのは非常にもったいない気がするのですが...



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