北尾吉孝日記

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日本人にとって余り関心は高くないかもしれませんが、米国共和党の下院議員が連邦住宅抵当金庫(ファニーメイ)と連邦住宅貸付抵当公社(フレディマック)を向こう4年間で廃止する提案をしたという報道が先日ありました。
サブプライムローンを借りた住宅所有者の住宅が結果として銀行のものとなり、不良債権化していったということについては以前このブログでも書きましたが、その中で米国住宅市場は壊滅的な状況になり、ファニーメイやフレディマックは破綻して、米国政府は現実的な方策として莫大な公的資金をつぎ込むことになりました。政府としても、もうこのようなことはこりごりということでしょう。

ファニーメイやフレディマックは、GSE(政府援助法人:Government Sponsored Enterprises)ですので、日本の「独立行政法人住宅金融支援機構」(以下、住宅金融支援機構)よりももう少し民間寄りの組織と言えるかと思います。記事には「住宅市場の安定回復に向け両社の廃止を提唱し、民間資本が主要な役割を果たす住宅金融市場の再構築を含む5項目からなる目標を掲げた」とありますが、何れにしても住宅金融市場においては、政府系金融機関がある程度の役割を果たすべきであると私は考えています。

日本について見てみますと、住宅金融公庫の時代には逆鞘で、要するに貸せば貸す程損をするという赤字垂れ流しのシステムであったわけですが、現在の住宅金融支援機構においても業容を見ていますと、不良債権が増大した場合にどのように対処するのかということが、ある意味問題点であると私は思っています。またその官による住宅ローンの対抗馬として、銀行のハウジングローンというようなものがあるわけですが、そのような意味では日本においては官と民がある面でミックスしながら、国民の住宅購入を支援する体制を整えていると言えます。

そのような日本の状況に当て嵌めて今回の報道を見てみますと、もし住宅金融支援機構のような組織を廃止し、全て民間資本にするとなれば、長期固定金利住宅ローン「フラット35」のように低利でしかも35年間固定金利にするということは、民間金融機関では不可能ですので、住宅を持てない人が結構出てくるのではないかと考えられます。つまり金利を35年間固定し続けている間に、どのように市場が変わって行くのかという部分がありますので、やはり政府系金融機関でなければ「フラット35」のような商品を提供することは非常に難しいということです。住宅というある意味人生で一番大きな買い物に対しては、やはり何らかの形で公的な部分が関与して行くということが必要ではないかと私は思っています。

住宅というものを官が担うことの意味をもう一つ挙げますと、住宅購入はある意味波及効果が大きいということがあります。つまり家を一つ買えば、様々な建設資材が必要になりますし、引越しするとなれば併せて新しい家具を購入するというようにもなりますので、色々な消費に繋がって行く効果があり、景気に対する影響は非常に大きくなると考えられます。今日本政府は住宅金融支援機構を通じて住宅産業に力を入れているわけですが、それはある意味景気をバックアップする一つの強力な方策であると言えるでしょう。従って、米国についてファニーメイやフレディマックを廃止するということは、景気対策上も逆効果ではないかと私は考えています。




 

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