北尾吉孝日記

『ユーロ圏の将来2』

2010年5月20日 12:21
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欧州中央銀行(ECB)は「財政危機に陥ったギリシャ支援策の開始後1週間で、同国の国債など総額165億ユーロ(約1兆9千億円)を購入」しましたが(※1)、結局ユーロは対ドルで「リーマン・ショック」後の最安値を更新し、先週このブログで述べた通り、「1ユーロ=1.2ドル」というような状況になってきています。
この状況をどう考えれば良いかと言えば、通貨統合によりユーロ経済圏を創造してみても、各国間に大変な経済格差がある中で、夫々の国が主体的に経済政策を運営している以上、やはり経済統合は難しいということなのでしょう。

今回のような問題が起こった時、ユーロ加盟国のどの国が最も負担するのかと言えば、それは結局ドイツになるわけで、負担率において各国間で大きな差が出てきます。
そうなりますと、ドイツ国民は「なぜ、ギリシャのために我々がそれ程負担しなければならないのか」「なぜ、PIIGSのために我々が…」というように反発するわけで、そのドイツ国民により選出されるドイツの政治家は非常に厳しい状況に置かれます。
つまり政治家である以上、票を意識せざるを得ない一方で、この危機を克服しなければ、欧州統合の理想は無に帰すということで、痛し痒しとなるわけです。

従って、夫々の国によって経済政策が夫々違う形でなされ、夫々の国の選挙民によって夫々の国で政治家が選出されるという中で、通貨だけは統合されているという状況では、やはりその通貨が永続的に安定し続けるということは無理なのでしょう。
「リーマン・ショック」後のドル凋落時には、基軸通貨足るかというような勢いでユーロは一時期買われていたわけですが、結局それも不可能だということが認識されてきました。

西欧諸国間ですら相当な格差がある中、旧東欧諸国も含めた形でユーロ経済圏を形成しているわけですが、ユーロの世界が創造されて10年が過ぎた現時点において、やはり通貨統合というものは極めて難しいということが今回改めて認識されたのではないでしょうか。
それ故、現在このようにしてユーロは弱くなっているというわけだと思います。
もちろん弱い通貨は輸出の増大には当然寄与するわけで外需により弱っている経済の回復にはプラスの面があります。

【参考】-『ユーロ圏の将来

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ギリシャ問題の行方

参考
※1:http://www.sankeibiz.jp/macro/news/100518/mcb1005180814027-n1.htm




 

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