北尾吉孝日記

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再び休暇中の海外出張が始まりました。
このお盆には韓国に2泊3日で行ってきましたが、今回の出張の目玉は大きく言って3つありました。

まず一つ目は、Jong-Kyung Choi経済主席にお会いすべく、青瓦台(大統領府)を訪問しました。厳重な警護体勢の下、パスポートを預けて面会しましたが、私どもがKTIC(※1)やKTIC GLOBAL(※2)の経営権を取得したことで今後韓国経済に深く関与して行くということになりましたので、今回様々な意見交換並びご支援をお願いに行きました。上記2社の連結子会社化によって、これから韓国政府の資金を取り込んで様々なことをして行けるという自信を今回の訪韓で持てたことは、大きな収穫の一つであったというように思います。
二つ目は、Hana Bankを傘下に置くHana Financial Groupのチャン総帥とディナーをご一緒しました。チャン総帥は長い間親交を温めてきた人で、非常に尊敬をしている人ですが、今回の訪韓ではSBIモーゲージ株式会社の来年度中公開の主幹事をHana Daetoo Securitiesに引き受けてもらえるようお願いしてきました。
更にもう一つは、所謂ソブリン・ウエルス・ファンド(SWF)のKorea Investment Corporationを訪問し、CIO(Chief Investment Officer)を含む数名の幹部とお会いしました。韓国政府はこのKICを通じて、2859億ドル(7月末時点)の外貨準備高の一部を運用(昨年末時点で約300億ドル)していますが、そのCIOはScott E. Kalbという米国人でありました。

SWFに関してはこのブログでも過去何度も取り上げてきましたが、結論から言えば、日本も韓国を見習って一刻も早くSWFを創設すべきであるというように私は思っています。運用する者がいないということであれば、韓国のように米国人をCIOに雇って運用体制を整えれば良いことで、ある程度のお金を支払えば出来ないことはないと思います。例えば、総資産4000億~5000億ドルとも言われる、Abu Dhabi Investment Authorityという中東アブダビのSWFについても、私が訪問した時にはアラブ人の他に必ず英国人か米国人が一緒に出てくるという状況で、実質的には彼らが専門家として運用の切り盛りをするという体制を敷いているわけです。そのようなことが、なぜ韓国やアブダビに出来て日本に出来ないのか、私は疑問に思います。日本にも運用のプロは沢山いますし、少なくともアラブ諸国と比べればより良い状況にあることは間違いないわけです。
先日のブログでも触れましたが、日本は債券と言えば、米ドル債ばかりを買い入れてきましたが、今時またドル買いに言及する愚かな政府関係者もいて、一体いくら損失を出せば気が済むのかという感じがしています。例えば、中国を見れば、「日本国債を買い増す一方、米国債の残高は減らす」というような姿勢を鮮明にしていますし、金の保有量については特に2009年からどんどん増やしているという状況です(世界6位:1054.1トン)。

日本ももう少し上述のKICやADIA、あるいは総資産3300億ドルとも言われる、CIC[China Investment Corporation]というようなSWFの運用体制を真似してみたらどうかと思います。CICは、今、世界中で資源や食料の関係の資産を増やしており、長期的視点で極めて戦略に投資をしています。多額の外貨準備を抱えて、ただ為す術も無く米ドル債ばかりを買い入れ、そして、輸出力強化という大義名分の下でしてきたことが、如何に内需、取り分け消費が増えない理由になっているのかについて、今一度考えてみるべきだと思います。この「失われた20年(Lost Two Decades)」は、正に無為無策を続け、内需刺激を怠ってきた結果の現れと言えましょう。例えば、最近のエコ減税についても、一時的な効果は発揮されるとしても、結局は消費を先食いするだけのことであって、それ以外の効果は基本的にはありません。
どのようにして本質的に国民の所得水準を高めるのかということを真剣に考えなければならない時に、国民の所得を減らし国内消費を危機的状況に陥れることに繋がり得る消費税増税議論を選挙前に持ち出すという発想は、余りにもナンセンスであるとしか言いようがありません。先日も述べましたが、そのような消費税増税議論というものは当面凍結し、他国を見習ってこれまで溜め込んできた巨額の外貨準備高を使いSWFを創設して行くという議論を急速に進展させるべきではないかというように私は考えています。

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参考
※1:韓国KTICの子会社化に関するお知らせ
※2:韓国KTIC GLOBALの子会社化に関するお知らせ




 

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