北尾吉孝日記

この記事をシェアする

「ウォール・ストリート・ジャーナル日本版」に「4-6月期の日本GDP、中国を下回る」という見出しの記事があり(日本の名目GDP:1兆2880億ドル、中国の名目GDP:1兆3390億ドル)、「中国の2010年通年のGDPが日本を抜いて世界2位になるとの見方が一段と強まっている」というように書かれています。日本のGDPは時間の問題で中国に負けるということですが、円が強くなっての現況であって、仮に嘗てのように円が弱ければ、ずっと以前に抜かれていたということです(※1)。

ただ、もう少し角度変えて見ますと、今回中国に抜かれたという事実に大騒ぎするよりも、中国の一人当たりGDPが4000ドルで、未だ日本の10分の1程度に過ぎないということにこそ、より注目すべきではないかと私は思います(※2)。また、2030年には米国を抜いて中国が世界一の経済大国になるというような説もありますが、中国の一人当たりGDPは米国の12分の1程度と著しく低いわけです。
中国の一人当たりGDPが上記のようであるということは、今後経済発展する中でどんどん所得水準が向上して行くということを意味しています。そして、それと併せて、これから様々なモノに対する膨大な需要が発生するということも意味しています。
例えば、一人当たり原油消費量割合について言えば、2009年の中国の消費量を1とすれば日本は約5.5ですが(米国は約9.5)、中国の一人当たり原油消費量が日本並みとなった場合の国全体の消費量を考えますと、それは日本の約10.5倍にもなります(米国の約2.5倍)。あるいは中国の一人当たり粗鋼消費量について言えば、その水準は高度経済成長期初めの日本に並んだに過ぎず、未だ日本の半分程度のものです。
従って、これらのことは膨大な資源の確保、あるいは同様に食料の確保ということを今後中国が世界中にして行かざるを得ないということを、また意味しているのです。そして、昨日のブログでも少し触れた、総資産3300億ドルとも言われるCIC(China Investment Corporation)という中国のSWFは、既にそのような国策に則って資源及び食料関係に対する投資を進めており、長期的視点で極めて戦略的な動きを見せております。その一方で日本には国策と言えるようなものは全くありませんが、将来のために外貨準備を使って行くという発想がなければ、日本という国はじり貧になって行かざるを得ないでしょう。

現政権の無為無策ぶりには嘆息させられますが、だからと言って自民党が「国家百年の計」を大いに謳いそれに邁進していたかと言えば、これまた無為無策であったわけで、そのような意味ではどちらも殆ど同じようなものです。老子は無為の為、無策の策ということを言っていましたが、経済は中々そのようには行きません。やはりまずは「国家百年の計」を考えられる人物を育てるような仕組みを日本は作り始めなければなりませんし、賢者を世界中に求めるようなことも直ぐに始めなければなりません。ただ、上述したような不賢者ばかりの集団では、凡そそのようなアイデアも出て来ることはないと思われ、暗澹たる気持ちになってしまいます。

関連記事
韓国出張とSWF創設について

参考
※1:SBI金融道場‐10年後の中国経済は日本の4倍に?
※2:日本のGDPを抜いた中国「しかし1人当たりで我々に追いつくのは困難」-韓国





(任意/公開)
(任意/非公開)

  1. 近い将来、日本人が中国に出稼ぎに行く時代が来るように思います。
    世界の経済の中心が中国本土に変わる。
    特に上海は、目覚ましい発展です。

    益々、アジアでの影響力は日本は薄らぎ中国は絶大な影響力になる。
    海の航路も中国が牛耳ることでしょう。
    そうなれば、日本は生命の安全すら脅かされる。

    日本の生き残る道は、ロボットや環境産業等で世界最先端の技術を保持することだと思います。



Copyright © SBI Holdings, inc. All rights reserved.