北尾吉孝日記

『日本の航空事業の未来』

2010年9月9日 12:25
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先月末、株式会社日本航空(以下、JAL)は国際線を多く残す形での更生計画案を東京地方裁判所に提出しました(※1)。

日航問題に関する私の考え方は、JALが会社更生法の適用を申請した2日後に書いた『日航問題の決着について』というタイトルのブログで述べた通りです。
私は日航問題が表面化した初期の頃から、最終的にJALを残すというよりも全日本空輸株式会社(以下、ANA)にとって必要な優良資産だけを売却し、残りは清算するしかないと述べてきました。
即ち、「この日本にANAとJALという航空会社2社を残す必要は無く、国際線については譲渡資金を政府が融資する形でANAに譲渡し、国内線についてはANAとの重複や就航本数等を考慮して資産を譲渡しつつも、その大部分は廃止すべきである」というように上述したブログに書いたわけですが、それこそがANAも生き残って行けるという意味も込めて最も良い体制であったと私は思っています。

結局そのような形を採らずにJALを生き残したわけですが、そこで今後一体何が待ち受けているのかと言えば、世界中から格安航空会社(LCC:Low Cost Carrier)等々の競合相手が次々と押し寄せてくる中での過酷な競争です。
例えば、本年7月28日に茨城空港に就航した中国のLCC、春秋航空について言えば、先月30日から茨城~上海便において片道4000円の激安航空券を売り出したわけですが(※2)、JALがそのような価格競争に太刀打ち出来るとは私には到底思えません。
また、今回の更生計画案にはLCCの創設を検討課題の一つに掲げていましたが(※3)、仮にそのLCCが創設されたとしても、躍進を遂げて行く姿は想像し難いものがあります。

兎にも角にも私に言わせれば、初期の段階から根本的に誤った方向で進められていることが元凶であり、一国一キャリア体制を敷くことこそが、世界規模で熾烈な生存競争が繰り広げられている航空ビジネスにおいて何とか生き残るための唯一の術であったということです。
従って、一国二キャリア体制という形を選択した日本のこの分野における未来は、決して明るくはないというように私は思っています。

参考
※1:更生計画案の提出等について
※2:茨城-上海便が片道4,000円! – 春秋航空、格安航空券をWeb限定で発売
※3:http://www.yomiuri.co.jp/editorial/news/20100901-OYT1T01247.htm




 

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