北尾吉孝日記

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先週21日、政府税制調査会の専門家委員会(委員長・神野直彦東大名誉教授)で「上場株式の配当や譲渡益の税率を本来の半分の10%まで軽減する「証券優遇税制」について、予定通り平成24年1月から本則の20%に戻すべきだとの認識で一致した」というニュースがありました

上記記事にも「「金持ち優遇」のイメージがつきまとうため、民主党内では優遇措置の延長に慎重論も出ていた」とある通り、「証券優遇税制」が論じられる場合、いつも「株式投資家=金持ち」という考え方が持ち込まれますが、その発想自体がそもそもナンセンスで私には理解不能です。
例えば現在のようなゼロ金利の環境下においては、銀行に預けたところで元本が減るばかりですので、それに対して何とかしたいという動きが当然あります。
だから少しでも多くのリターンがあるかもしれないと期待出来る株式や投資信託の保有を考えるわけで、それを兎に角いつまで経っても「株式投資=金持ち=悪」というような前時代的発想から抜け出せていないわけです。

それからもう一つ大事なこととして私が考えているのは、以前ブログで述べた通り、リスクを取った株式投資に対する課税とリスクを取らない銀行預金金利に対する課税が同率になるということは明らかに合理性を欠いていると言わざるを得ないということです。
即ち、リスクテイクした結果としてハイヤーリターンが出てくるのは当然のことで、根本的にリスクテイキングに対する評価というものが余りにも加味されていないということがそもそもおかしいと思います。
従って、リスクテイクされたキャピタルゲインに対する課税については、他の課税と比較して軽減措置を採るべきで、それこそが本来あるべき考え方であるということです。

上記グラフは「家計の資産構成の日米比較(2010年6月末)」ですが、例えば「株式・出資金」を見ますと日本は米国の2割程度でしかなく、米国に比べ依然として圧倒的に低いわけです(日本:約6.6%、米国:約30.6%)。
日本のように「現金・預金」が金融資産合計1445兆円の半分以上も占めているような国が他にあるでしょうか(日本:約55.8%、米国:約14.7%)。
日本政府は「貯蓄から投資へ」の流れを何とか加速して行かなければならないと言っていたかと思いますが、それを目指すならば当然のこととして、税制上の優遇措置を設けて行かなければ難しいことは目に見えています。
銀行は貸出先が無くて困っているという状況において、貯蓄を優遇してみたところで一体何の意味があるのかということです。
今回またしてもいつもの様に「株式投資家=金持ち」というステレオタイプの下、「証券優遇税制」が論じられていることは余りにもナンセンスで、私は暗澹たる気持ちになっています。




 

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