北尾吉孝日記

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今年はクマによる人的被害が一時期頻繁に報道されましたが、私は「日本も物騒な国になったなぁ」という印象を持ちました。
先日朝日新聞に「クマ大量出没―人と動物、共生の回復を」と題された社説が掲載され、その中でクマが大量出没した原因として、里山の崩壊や猟師の減少等が挙げられています。
私は上記社説でも「直接の原因」として挙げられている「ミズナラやブナのドングリの不作」こそがクマ大量出没の最大の原因の一つであると思っていますが、そこにはやはり気候変動というものが大きく影響しているというように考えています。

先月名古屋市で生物多様性条約第10回締約国会議(COP10)が開催されていましたが、今正に生物の多様性が段々と失われ滅ぶものがどんどん出てきているという状況です。
現代は「恐竜の絶滅以来の第6の大絶滅時代」にあると言われており、しかも「1年間に約4万種と言われる現在の絶滅のスピードは、恐竜時代の絶滅速度よりはるかに速い」ということで、私は今回のCOP10日本開催を機に生物に対して気候変動が及ぼす現象や過度な森林開発等により砂漠化して行くという現象等々、様々な現象についてつくづくと再認識することとなりました。

人類は特に西洋文明の影響により、自然をコントロールするという立場や機械文明を最優先するという立場に立って、生産力の増強、あるいは所得水準の向上というようなことばかりを追求するようになってきました。
例えば、20世紀に発明された原爆や水爆をどこかの国が使用するとなれば地球がどうなるのかという問題ですし、あるいはこれ以上二酸化炭素を出し続けて行けば地球がどうなって行くのかという問題になりますし、あるいはこれ以上森林破壊が進んで行けば地球がどうなって行くのかという問題で、最早ある面で西洋機械文明の限界点にきているというように私は考えています。
従って、今後も中国、ブラジル、東南アジア諸国等々が全て西洋流の経済発展のみを志向して行くとなれば、地球というもの自体が非常に危険な状態に陥るということになるわけです。

日本の高度成長期にローマクラブ等が公害問題というようなものに対して世界的に警鐘を鳴らしていた時期がありますが、何時の間にかこのようなことは忘れ去られてしまっているわけで、今正に北極海の氷が溶けたり、ホッキョクグマがどんどん死んで減少したりするというような状況を見るにつけ、やはり地球全体の温暖化が急速に進行しているということを今一度考えなくてはならないでしょう。
上述の通り、今一つの西洋機械文明の限界点に到達しつつあるというように私は捉えており、そのようなことが世界規模で一度真剣に議論されるべき時になったのではないかというように思っています。
そしてこのような危機的状況において、一つの新しい思想というものが世界的に受け入れられるようにならなければ、地球自体がおかしくなって行くと私は思います。
私が言う新しい思想とは恐らく東洋的な思想であり、その代表的なものとして中国の天人思想というようなものになるのではないかと思っています。

天人思想については拙著『君子を目指せ小人になるな』の第5章の2「天人思想と自然観」でご紹介した通り、造化(万物の創造主であり神であり天)と人とのかかわりを明らかにする思想で、そのかかわりとは「絶対者、つまり造化が個の働き、自分の努力を森羅万象に植え付けていく」というものです。
その天人思想をベースとした東洋の自然観というものは下記の通りで、「森羅万象、そこに草木がある、花がある、これは全部造化の働きによって生まれてきたものです。したがって、造化の心が我が心であるならば、人と自然も一如なのだ」というのが東洋の合理であるということです。

東洋の自然観:
人間を自然に溶け込ませて観察し、思索する。
人間の中に自然を見、自然のなかに人間を見る。
人と自然と渾然一体となって観察し認識する。

要するに東洋的な考え方は「人間は、造化発現の作用により自然のなかにつくられたもの」であり「この自然も造化の働きによってつくられたもの」とするのに対して、西洋的な考え方は「人間は「神の似像」として、他の者とは異なった特別な存在であって、自然の支配者なのである」というものです。

私は人間も自然の一部であり、その自然の中で生きる全てのものが共存して行くというような東洋的な考え方こそが今正に必要になってきたと考えています。
そしてまた、そのようなものが再び希求せられる世の中になったのではないかというように思っています。





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  1. あと、東洋の「求道」の精神ですね。
    この求道はいま必要なリーダーシップ。

    北尾さんの方がよくご存知でしょうから
    斯くより言うもおろかなり。



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