北尾吉孝日記

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昨日政府は「包括的経済連携に関する基本方針」を閣議決定しました。

この中で先日私が基本的な考え方を示した環太平洋戦略的経済連携協定(TPP:Trans-Pacific Strategic Economic Partnership Agreement)に関して、「その情報収集を進めながら対応していく必要があり、国内の環境整備を早急に進めるとともに、関係国との協議を開始する」との表現により参加の判断を先送りしましたが、私にはこの判断が全く理解できません。
なぜなら情報収集をしてから参加の意思表示を行うというのではなく、参加の意思表示を行った後に情報収集等々何でもすれば良いわけで、私であれば政府の判断とは全く逆の判断を下すからです。
と言いますのも、まずは参加の意思表示を行ってルール作成の決定過程に参画し、そして時間を掛けて調査・交渉をした上で、結果として日本の国益にならないと判断すれば、やはり辞退するという結論に至っても良いのです。
米国にしろ豪州にしろ、参加の意思表示を行ってから時間を掛けて交渉しているわけで、日本は物事の進め方が順序として全く逆であるというように私は思っています。

米国は来年11月にハワイで開くAPECでの交渉妥結を目指す。参加国は既にルール作りを始めており、日本は現時点でも出遅れている」と記事にありますが、日本がTPPに参加するかどうかの意思決定でもたもたしていれば、その間に米国主導でTPPの枠組が日本のコミットメント無しに全て決められてしまうということにもなりかねません。
そのように要件の決定段階に日本が入って行かないとなれば、日本にとって余計に不利なものとなる可能性があるということです。
更にTPP交渉を加速させたい参加国にしてみれば、情報収集が先と言えばどこも日本を相手することはないでしょうし、既に参加している国々の交渉がある段階にまで達した後、日本が参加表明を行っても、最早参加国の個別の同意は得られずTPPに加わることすら出来なくなる恐れがあります。

自民党の中にもTPP参加に反対している議員は結構いますが、本当に日本の将来を突き詰めて考えれば、まずは賛成すべき事柄であるということがなぜ分からないのか、理解に苦しみます。
何れにしてもまずは参加しなければ話にならないことで、その意思表示を行う前にもうこれ以上何の情報も集める必要性はなく、日本政府は2011年6月前後などと愚かな考えを表明せずに直ぐにでも参加の決断を下すべきでしょう。

TPP参加の是非を判断するためには、勿論上記ブログにおいて挙げたように現在40%程度の日本の食料自給率を大前提として考慮しなければならない他、世界の将来推計人口による食料確保の必要性、あるいは食の高度化の進行というものも考えなくてはなりません。
それに加えて、一つはTPP参加に関する経済的影響(農水省試算:実質GDPは7.9兆円減少/経産省試算:実質GDPは10.5兆円減少)をどう捉えるのかという問題、そしてもう一つは農業者の高齢化をどうして行くのかという問題についての検討が必要となってきます(参考‐欧米諸国における農業就業者数と平均年齢の推移)。

上記ブログにおいて述べた通り、私は基本的には自由主義者ですのでTPP参加には賛成ですが、参加の条件として如何に農業の生産性を向上させ自給率を高めて行くかを数値化により厳密に管理して行くことを並行すべきと考えており、諸外国比較において低い数値と言える食料自給率を現在の水準よりも下げて行くことは絶対に避けなければならないと思っています。
従って前々から主張しているように、日本で唯一広大な土地が未だあり、平野が多く温暖化して行くであろう北海道において、大農法による生産性の高い米国的農業をして行くべきではないかというように思います。
やはり基本的には「比較生産費説」と経済学の世界で言われるものの中で自由貿易を貫徹して行くことが好ましいと私は考えていますので、日本政府は上述したことを国策として実施して生産性を高め、農業体制に変革を齎すことにより世界で勝ち残って行けるような形にして行くべきであると思っています。





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  1. 北尾さん

    食糧自給率ですが、カロリーベースでは40パーセントですね
    しかし、それは数字のからくりがあります

    完全国産の鶏でも、鶏の飼料が100パーセント輸入モノだと、100パーセント輸入にカウントされてしまうのです
    生産額ベースで自給率を計算すると、70パーセント程度だそうです

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