北尾吉孝日記

『「GM復活」への懐疑論』

2010年11月29日 16:46
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今月18日、経営再建中の米自動車大手、ゼネラル・モーターズ(GM)が株式をニューヨーク証券取引所に再上場し、国有化を脱する一歩を踏み出しました

GMが経営破綻した昨年6月、私は『GM国有化について』と題したブログの中で、「今後GMが米国経済の中でどのようなポジショニングを得られるのか、そして、世界の自動車産業の中でどのようなポジショニングを得られるのか、私は非常に大きな関心を寄せています」と述べた上で、「これから自動車業界は遅かれ早かれ電気自動車の時代に入っていくと思っています。そのような技術革新が国有化企業のGMの中で果たして起こるのかどうか、私は非常に懐疑的」であるという見方を示しました。
今回GMは上場廃止から1年5ヶ月でのスピード再上場を果たしたわけですが、GMの将来に対して懐疑的であるとの上記見解は全く変わっておらず、今後GMの中で技術革新が起こり、新しい技術力によって新しい車を生み出して行く力があるのかについて私は未だ疑問視しています。

GMの業績について言えば、「7~9月期まで3四半期続けて最終黒字をあげ、業績が好調」ではありますが、以前このブログで述べた「トヨタの大規模リコール問題」等々、これまではGMにとって追い風となる事柄に付け込むことでその恩恵を被ってきたという部分も非常に大きいわけです。
以前ブログで述べた通り、GM破綻の最大の要因の一つはGMの自動車向け融資の不良債権化が物凄い金額に及んだということですが、破綻に至る過程ではGMが世界競争で負けて行ったという側面も勿論あります。
従って、上述したように一時的な棚牡丹のお陰で今回のような急回復を遂げることが出来たという部分もあるわけで、今後GMが完全復活を遂げるためには、やはり日本勢、韓国勢、更には中国勢も含め様々な国のオートメーカーが参戦してくる熾烈な世界競争に晒されたグローバル産業の中で本当に勝ち抜いて行くことが出来なければならないということです。

今後の自動車産業においては、上述したような電気自動車の時代への対応というような要素の他、新興国市場にどう取り組んで行くのかという部分も勿論あり、そのマーケットで十分な価格競争力を出せれば競争優位を築くことが出来るとは思いますが、その中で核心となるのはやはりsomething newを作り出す能力がGMにあるのかどうかということだと思います。
従って、このようなことを考えますとやはりGMの将来について私は懐疑的にならざるを得ず、そもそも一度破綻した企業が完全復活を成し遂げることは大変困難なことで、今回復活したかに見えるGMが再び窮地に陥る可能性は非常に高いというように思っています。




 

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