北尾吉孝日記

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ご存知の方も多いと思いますが、先週金曜日の日本経済新聞に『日本、家電の「純輸入国」に AV機器、初の「入超」』と題されたシンボリックな記事がありました。

【薄型テレビなどデジタル家電製品の輸入額が、2010年に初めて輸出額を上回ったもようだ。ソニーなどの電機大手が国内生産を減らし、台湾企業などへの生産委託を増やしてきたことが背景にある。すでに冷蔵庫など白物家電は輸入が輸出を大きく上回っており(09年の輸入額は6084億円と輸出額の3倍)、日本は家電製品の「純輸入国」に転じた。
電子情報技術産業協会(JEITA)によると、テレビや録画再生機などAV(音響・映像)機器の10年1~10月の輸入額は前年同期比62%増の7691億円。輸出額は7620億円で同1%増にとどまった。年間でも輸入額が輸出額を上回った可能性が高い。】

このことを考える上では昨年8月に書いた『二番底模索の世界経済における円高がもたらす日本経済最後の空洞化』というタイトルのブログも参考になると思いますが、言ってみれば正に産業空洞化の象徴足る現象が起きてきているということで、自動車においても早晩そのような時代が必ず来ると認識すべきだと思います。
上述の現象が現実的に起こっている中で今日本はどうすれば良いのかということで言えば、日本が家電製品の「純輸入国」に転じたことを単に象徴的な出来事として捉えるだけでなく、この事実を深刻に受け止めて日本に如何なる産業を育てて行くのかを真剣に考えなくてはならないということでしょう。
上記記事には「台湾の鴻海精密工業など、生産受託を専門にする企業」の強みとして「中国に巨大な工場を持ち、規模を生かして部品などを安く調達できる」ことを挙げた上で「日本の電機大手は生産委託を増やし、人件費や設備更新の負担などを減らしてきた」と書かれていますが、海外委託生産をどんどん増やしてきたことについては、これだけの円高環境下において当然の結果とも言えるものです。
しかしながら今後このような動きに対しては、やはり政治が確固たるリーダーシップを発揮し主導的役割を演じなければならないでしょう。そうした役割は日本に新しい輸出産業を育てるという方向性で担われるべきで、今後はエコ家電・エコカー減税というような国際競争力を失いつつある産業を支えるようなバカげた政策を例え短期的にも行うべきでなく、長期的な日本に新産業を創出するという方向性でしか貴重な税金を使うべきでないでしょう。それと共に産業もまた経済合理性の中だけで意思決定をして行くということでは最早限界がありましょう。
上述したような危機的状況にある今、この国をどうして行くのかということについてもう一度原点に立ち返り、夫々の人が夫々のレベルで真剣に考えるべき時にきているのではないかと私は思っています。




 

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