北尾吉孝日記

『中国の今後最大の課題』

2011年2月2日 11:12
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鄧小平が1978,79年に改革開放路線を打ち出してから今日までの30年間、2008年までで見ますと中国のGDP成長率は年平均10%程度を示し、そして一人当たりの国民所得は実に12倍という驚異的な成長が遂げられました。
正に鄧小平という男が行った毛沢東時代と懸隔した一つ政策が上述したような偉大な結果を生んだということです。まさに、「一国は一人(いちにん)を以て興(おこ)り、一人を以て亡(ほろ)ぶ。」という蘇老泉の言葉を思い出しました。
その結果中国は世界第2位の経済大国になったわけですが、ではこれから中国は何をして行くのかと言えば、それは農村部の都市化であろうと思われます。
所謂農村人口というものを捉えるべく総人口に対する都市人口の割合というのを見ますと、1900年当時中国では大体25%であったと言われています。
それが今や凡そ45%となり、そしてこの新しい都市化に向けた革命を終える2030年には恐らく70%を超えてくるであろうと推測されています。
現在、中国の都市部と農村部の所得格差は3.5倍以上あると言われていますが、この都市化を押し進めることによって格差を無くし、そして社会不安に繋がるリスクというものを大幅に減少させることこそが中国の今後最大のテーマであると私は考えています。

中国は2008年9月の「リーマンショック」後、世界恐慌を未然に防ぐべく内陸部分に重きを置いた内需拡大のために4兆元(約50兆円)という金を使ったわけですが、今後もこの都市化に向けた流れの中でその規模以上のものを使って行くであろうというように思われています。
唯今でも鉄鉱石や亜鉛、銅や鉛、あるいはアルミといったものについて世界総需要の4分の1程度を中国が占めると言われていますが、今後推し進められる都市化政策によってこれが更に増えてくることが当然ながら予想され、資源価格の高騰がこの方針を推進するための非常に大きなボトルネックとなってくるでしょう。
それに加えて今は規模の大きい国々が世界中で正に同時的に経済のTake Offを迎え高度成長を遂げて行っており、BRICsのみならずVISTAやアフリカ諸国においてもそろそろTake Offして行くような状況にまでなってくるわけですから、その意味でも上述の問題はより深刻なものとなる可能性があるように思われます。
従って、中国は都市化政策推進に当たり、世界全体での資源価格高騰を抑制すべく、中国内外での鉱山開発を相当積極的に実行して行く必要が一方であるというわけです。
何故ならそれこそが世界全体での資源価格高騰を抑えて行く唯一の方法でしかないからです。

そして更に中国がもう一つ気を付けなければならないのは、農村部を都市化して食料生産量が減って行くということになった場合、これが大変な食料価格の高騰に繋がって行くという問題です。
これを防ぐ意味においても農業の生産性をどのように高めて行くのかということが今後の中国にとって非常に重要になってきます。
例えば農業を支えて行く水という観点からは、昨日「中国政府が今後10年間に4兆元(約50兆円)を投資し、水利施設の完備に尽力していく方針であること」に関する記事がありましたが(※1)、このようなことも含めて農業の生産性を如何に高め収穫量を増やして行くのかということについても、中国は都市化に向けた動きの中で考えて行かねばならぬ大きな課題であると私は認識しています。

参考
※1:水利事業の遅れが食糧安全保障を脅かす、今後10年で50兆円を投資―中国




 

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