北尾吉孝日記

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昨日の「ウォール・ストリート・ジャーナル日本版」にも「特例公債法案、成立絶望的=税制改正も―社・公が反対」という見出しの記事がありましたが、昨今の日本政治はあらゆる面において混迷の度を深めています。
そのような中で4月の東京都知事選にワタミ株式会社代表取締役会長であった渡邉美樹さんが立候補表明をしました。
実は先日も渡邉さんにお会いしていたわけですが、私としては今回のことを大いに歓迎しています。

1999年から3期12年続いた石原都政に対して私はうんざりしており、石原さんには間違っても4選を目指そうなどとは考えないで欲しいと思っています。
渡邉さんは「78歳というお歳で、4期16年はいかんせん長い。若い人間に任せてほしいという思いで立候補した」というように述べていますし(※1)、当の石原さんも『22日までに「出る気はない」との意向を親しい関係者らに伝達した』と伝えられていますが(※2)、それは当たり前のことだと思っています。
人間というのは78歳にもなってそのような職に就くべきではありませんし、これ以上やれば益々老害を及ぼすのみだということです。

本ブログで幾度か指摘してきましたが、石原都政の最大の汚点は一千数百億円以上もの都税を消し去った株式会社新銀行東京(以下、新銀行東京)であると私は思っています。
更に石原都政の無駄遣いという点で言えば、オリンピック招致活動も代表的な一つとして挙げられますが、それに関しては『2016年オリンピック開催地決定について』と題したブログで下記の通り指摘しました。

【日本の招致活動について言えば、石原さんが自ら絶賛するプレゼンテーションの是非は枝葉末節に過ぎませんし、英語でしっかりと話すことが出来ない石原さんや森喜朗さんではロビー活動を行うことは難しいと思っていましたので、その意味で東京の落選も当然の結果であると思っています。この招致活動経費の総額は150億円でその内の100億円が都税でありますので、結果として大変な無駄遣いであったと言わざるを得ません。】

上記ブログでも述べましたがオリンピックの歴史を考えてみますと、例えば「1964年の東京オリンピックは日本が長期高度成長期に入って行く時に開催されましたし、また2008年の北京オリンピックはまさに中国が高度経済成長に入っている時に開催」されています。
即ち、同じ国で2度も3度も開催するということではなく、やはり今を時めくエマージングカントリーが開催国になるという部分があるわけで、下記の通り2016年にブラジルが開催国になったのは当然の流れであるということです。

【国というものは、オリンピックや万博等を経て社会インフラが充実し経済発展を遂げて行ったり、あるいは他の色々な部分が改善して行くものです。例えば中国は2008年のオリンピックを経て非常に綺麗になりましたし、国民のマナーも良くなりました。つまり開催国にとっては様々な側面において国を成長させる大きなチャンスになりますし、また本当の意味でグローバルになって行こうとするならば、そのような改善が当然のこととして必要となります。】

上述した環境下において100億円もの都税を招致活動経費に充て、その上招致活動に失敗しているわけですから、石原さんの責任は大変重いものであると言えましょう。
今や日本は一銭たりとも無駄な税金を使うような余裕はないにも拘らず、株式会社電通だけでどれだけの都税を費やしたのかということで、石原さんは速やかに不出馬を宣言すべきだと私は考えています。

やはり渡邉さんのような企業経営者が都政を預かるというのは、非常に良いことだと思っています。
経営の一面に立てば「入るを量って出るを制す」ということを意識するわけですが、これまでは国政においても都政においてもそれが一つも出来ていない状況でした。
上述の新銀行東京について言うならば、金融のことを碌々分からないような者が安易な発想で銀行設立を進めたわけですが、ある程度金融に精通している人から見れば営業開始前から破綻するのは明らかでありました。
商売をする人というのは、例えば「この事業には本当にニーズがあるのか」「この今あるニーズというのは将来的に保証されるものなのか」「ニーズは将来的に伸びて行くものなのか」「競争相手のシチュエーションはどのようになっているのか」というようなことに対して深い考察を加えながら、精緻なビジネスモデルを構築して行くわけです。
その一方で今の政治家にはそのような視点が全く無く、昨日も米格付け会社ムーディーズ・インベスターズ・サービスが『日本国債の格付け見通しを「安定的」から「ネガティブ」に変更した』わけ(※3)、一体どれ程の財政赤字を垂れ流して行くつもりなのかと私は暗澹たる気持ちになります。
このようなことをいつまでも続けていれば、日本国債の格付けはどんどん引き下げられて行くことになるでしょう。
先月末の『日本国債格下げをどう見るべきか』と題したブログで下記の通り日本財政の現況を述べましたが、家計の金融資産残高が目減りして行く一方で「長期債務残高」は増加の一途を辿っており、今後金利が上がって行くと日本の財政がどうなってしまうのかということを今こそ真剣に考えるべきではないでしょうか。

【国と地方を合わせた「長期債務残高」は2011年度末で892兆円となる見通しで(※4)、端的に言うと今後例えば金利が1%上昇するだけで9兆円の金利負担増となり、それがまた国債発行を誘発するという悪循環に陥りかねないような水準に最早あるからです。
しかも家計の金融資産残高1442兆円と比べて見れば(※5)、その差は550兆円となっており、この程度の差などというものは時間の問題であるということですらあり得るのです。
そして民主党政権下において「新規国債発行額が税収を上回る異常な予算が組まれる」という状況がこの2年続いており、「財政再建への展望は全く得られていない」というわけです(2011年1月28日日本経済新聞朝刊)】

44兆円の国債を新たに発行してみたところで、これまでの分に加え上記9兆円分が金利負担に充てられてしまうという状況にそんなに遠くない将来になるかもしれないわけで、政治に一体何が出来るのかということです。
従って、国政においては国家経営論ということになりますが、今正に国家を経営するという観点に回帰すべきであろうというように私は考えています。
その意味で渡邉さんは「マネジメントと強烈なリーダーシップと『信』が必要で、経営力を政治に生かさなければならない」というように語っており、都政においてもそのような考え方をどんどん推し進めてくれることと大変な期待を寄せていますし、今後も渡邉さんを大いに応援して行きたいと私は思っています。

参考
※1:ワタミ前会長:都知事選に立候補表明、経営力を政治に生かす-会見
※2:石原都知事、4選不出馬の意向 3月上旬にも正式表明
※3:政治に懸念、国債格下げも ムーディーズ、一体改革の行方危惧
※4:国の借金残高、来年度末1000兆円目前に
※5:日銀:9月末の家計金融資産は1442兆円、前年比0.3%増




 

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