北尾吉孝日記

『日本と中国』

2011年3月16日 9:39
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今や中国は日出ずる国、日本は日没する国というような評が様々な所でなされているわけですが、確かに起こった象徴的な現象はと言えば、GDPで日本が中国に抜かれ世界第3位になったということです。
また世界各国の注目度や世界に対する発言力といったものについても、中国のそれは日本と比べて格段に大きなものになりつつあります。
そして日本が持っていない軍事力についても、あっという間に巨大なものになってきています。
その一方で日本はと言えば、輝かしい未来に対する希望や夢をどんどん失おうとしているというのが現況であります。
このような現実の中で私自身の一つ大きな研究テーマとしてもう一度日本と中国というものを冷静に考えてみるべきであろうというように思っています。

なぜ日本が今日多くの人の目から見て「その退潮も時の流れか」と言われるような状況になってきたのでしょうか。
一言で言えば、戦前と比して工業生産、農業生産共に3分の1以下になった戦後日本があれだけのスピードで自由世界第2位の地位を築き上げることが出来た要因とも深く関わっています。
即ち上述の成功を齎した要因が現代のグローバリズムの中では寧ろ手枷足枷となり、最早日本の成長を阻害して行く弊害になりつつあるというわけです。
以前『個人と大衆』というブログを書きましたが、大衆というのは未来をどのように持って行くべきかというような方向性を与えることは出来ません。
しかし大衆とは問題の原因を分析し、「このままではダメだ!」という感覚だけは持つものです。
その意味で言えば、大衆がそのような感覚を持った結果として2009年夏自民党政権が崩壊したのだろうと思いますし、そしてまたその時に一つの正しい見方というものも上記感覚の中に芽生えていたような気もしています。
即ちそれは小沢一郎氏が言っていた“官僚制度を打っ壊す”ということです。
この官僚制度こそが日本の戦後復興を見事に成し遂げ、世界第2位の経済大国へと導いて行ったものであったわけですが、今はと言えばグローバリズムの中でそれがあらゆるものの足を引っ張っているという状況になっています。
例えば昨日のブログでも指摘したように官僚が1950年代に作った法律に基づく様々な事柄によって日本経済全体の合理化や生産性の向上が阻まれています。
そしてその法制度の下、色々な公的機関や、あるいは公と民とが癒着したような組織体が生まれてきて、役所は天下りをどんどん送り使途不明の税金浪費ということが起こってきたというわけです。
一例を挙げれば、上記年代に作られた農地法があるために農業は株式会社化も出来ないわけで、なぜ農業においては資本と経営を分離させるということを工業におけるそれと同じ様にしなかったのかということを私は問題視しています。
なぜなら資本と経営を分離することが出来れば、基本的には農業の生産性というのを一挙に高めることが出来るからです。
そして二言目には「日本の食料自給率はたった40%である」と官僚達、政治家達は声高らかに言いますが、それは世界で全く類例を見ないカロリーベースの自給率計算により作られた馬鹿げた数字でしかありません。
生産額ベースで見れば日本の食料自給率は70%もあるわけで(※1)、国民の誤解を招くような全くナンセンスなことを官と農とが一緒になって行ってきたということです。
今の日本には上述したようなシステムがあらゆる所に散在しており、それは金融の世界においても然りです。
金融の世界における日本金融の後進性というのは自由世界第2位だった国とは思えない程のものであり、無意味でくだらない規制が縦横無尽に張り巡らされているのです。
このことは金融に限らずあらゆる業界において見られる状況だろうと思われますが、それを打っ潰そうとした小沢氏が官僚や官僚と癒着してきた政治家、あるいはマスコミといったものに叩き潰されて行ったということです。
しかも所謂「民主党・小沢元幹事長の政治資金問題」について言えば(※2)、今年1月末に強制起訴されるまで検察は何も出来なかったわけで、結局違法性は存在せず無罪になるというように私は確信しています。
小沢氏のように本気で日本を救おうとすると、その世界から抹殺されて行くというような現実を見るにつけ、正に残念というより他はありません。

鳩山前総理についてはお粗末と言えばこの上ないお粗末ではありましたが、彼の提唱する「東アジア共同体構想」というのは正しい考え方であると思っています。
そして菅内閣が俎上に載せている環太平洋戦略的経済連携協定(TPP:Trans-Pacific Strategic Economic Partnership Agreement)についても参加しなければ日本の製造業は間違いなく壊滅的打撃を受けることになりますので参加するという選択肢しか残されてはいないのです。
ただ、正しいことを言ったとしても誰が言うのかによっては正しいことにはならないわけで、近年の日本の国家リーダー達が世界はおろか日本国民から誰にも相手にして貰えないという悲しい現実がそこにあるということです。
国会答弁を聞いていても論旨不明快、作文棒読み、支離滅裂といった具合であり、これで一国を導いて行くことなど到底出来るはずもないわけで、もっと頭のスッキリした、そして覇気と情熱を持って国民に訴えられるような総理が出て来ないものかと常々思っています。
『老子』の中に「国家混乱して忠臣あり」という言葉がありますが一刻も早い忠臣が待たれます。
そして今度こそ能力、手腕、人格が欠落した世襲議員の類ではなく、豊かな教養とインターナショナルなセンスを持った、本当に国を引っ張って行くことが出来る人物に指導的立場に就いて欲しいと切に願うものであります。

関連記事
選挙結果に関する所感と民主党政権に期待すること
日本の貯蓄率

参考
※1:農林水産省「食料需給表」
※2:民主党・小沢元幹事長の政治資金問題 – Yahoo!ニュース





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  1. 色々と考えさせられました!ありがとうございますm(__)m
    今は震災地に近いため、状況が落ち着き次第「SBIマネーワールド」を購読させて頂きたいとおもいます。
    http://twitter.com/#!/fumihiro525i

  2. 北尾さんの話は立派で頭が切れると言った事が文脈にも出ていて関心するばかりです。多分様々な情報量を瞬時に選別した上で、想像する力が潜在的な要素と努力とによって養われたものかと思っていつも拝読しています。

    ただ私にはそう思いつつ一つ物足りないもがいつも感じています。それはエモーショナルな物が感じないという事です。
    私が浪花節的過ぎるのかも知れませんが、物に対する洞察力と人に対しての情緒力との違いでしょうか。勿論どちらも大事ですが、バランスも大事かと思われます。小人の遠吠えですかね。

    これからも拝読させて頂きます。

  3. 今回のブログを拝見して、私はとても考えさせられました。

    来年度、私はバスケット部の最上級生となります。いままでは練習や試合に対して、ただ漠然と現状では駄目だと考えてきました。

    しかし、今回のブログで自身が上に立ち現状を打破していくためには、現在の問題点の分析・それに対する技術練習が必要であるのだと考えております。今一度、バスケット部の問題点を冷静に洗い出してみたいと考えています。

    乱文になってしまい申し訳ございません。

  4. 東日本大震災:「ユニクロ」柳井会長、私財10億円を寄付

    三木谷 10億

    北尾さんは?



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