北尾吉孝日記

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今週月曜日オバマ大統領は来年11月の次期大統領選挙への出馬を正式に表明しました(※1)。
2012年には米国の他、フランス、ロシア、韓国でも大統領選挙が実施予定であり、また台湾でも総統選挙が予定されていますので、来るべき選挙に向け世界では様々な動きが活発化してきています。
例えばフランスのサルコジ大統領は先月17日に突如として訪日の意向を表明し(※2)、先月末に来日して菅首相と会談を行ったわけですが、当然のことながら私はこの動きを再選戦略の一環として捉えています。
フランスという国は電力の原発依存度が「78%と世界最高で、原子炉の数ではアメリカ(104基だが電力の20%程度)に次ぐ58基で世界第2位」(※3)、そして他国への売り込みにも力を入れている「原発大国」です。
ただ他の欧州諸国の現況を見てみますと(※3)、例えばイタリアについては1986年のチェルノブイリ原発事故後に全4基の稼動を停止しましたが、先月23日政府は「現在休止中の原発の再稼働計画を1年間停止すると決定」し、更に「2年間かけてより明確な原発政策を検討する構え」を見せています。
またドイツについても「2010年、アンゲラ・メルケル首相率いる現政権は既存の原発17基の稼動を延長」しましたが、福島原発事故直後に「政府は古い原発7基の運転を一時停止するよう指示」し、「6月15日までに全原発17基の厳しい安全点検が行われる」ことになりました。
そうした中で先月27日に実施されたドイツ南西部、バーデン・ビュルテンベルク州の州議会選挙では「原発政策が最大の争点となり、緑の党は原発への不安票を獲得」して大躍進を遂げたわけで、今後の原子力政策推進は非常に難しくなってきているという状況です。
それ故に今回の大事故を受け、フランスとしては当然ながらサルコジ大統領も来日して、「フランスの原子力政策には全く問題は無いが、日本のそれには問題があった」とか「日本の対応が後手に回ったため今回のような大惨事が引き起こされたが、フランスの対応が後手に回ることなどあり得ない」といったような議論に持って行かなければというわけです。
そして「原発大国」フランスによる現行の原子力発電が如何に安全かということを広く世に知らしめるべく、地震や津波、あるいは台風といった様々な自然災害に対応出来る能力がどれ程あるのかについて、フランスは世界に対して発信し続けなければならないということなのです。
欧州の問題点というのは各国が非常に近接していることであって、仮にフランスで今回の日本のような大事故が起こったとすれば、放射線量や風向きに関する要因、あるいは酪農製品をどこから購入しているのかといったことより、欧州全体に計り知れない程大きな影響が行き渡る可能性があります。
先ほど述べたチェルノブイリ原発事故においてもある面ではそのような部分があったわけで、今回の大事故を経て今後エネルギー政策をどうして行くのかというのは欧州にとっても非常に大きな問題となるのです。
また別の観点から言えば、原油価格がどんどん上がってきて既に108ドルを超えてきているということも(※4)、次期大統領選挙においてエネルギー戦略の在り方が重要なテーマとなってくる所以です。
そのように原油価格が上昇を続けるという環境下、片一方では今回の大事故により安全性ということが世界的に非常に大きなテーマとなっているわけで、どういったエネルギー政策を打ち出すことでこれを所謂正反合の世界に持って行くのかいうのが難しいポイントになってきます(参考:『仏、8割が原発依存低下望む=日本の事故受け-世論調査』)。
この点についてはフランスのみならず米国等においても勿論同じような状況であり、世界における各選挙の中で一大テーマとして問われて行くことになると私は見ています(参考:『オバマ氏、エネルギー政策で「全米行脚」開始 2012年大統領選』)。
従って、そのような意味では日本は世界から「よくもまぁこんな時に馬鹿な事故を起こしてくれたな」というように思われているわけです。
またサルコジ大統領が仕掛けた対リビア武力行使について言えば、これについても来るべき2012年大統領選挙に向けた動きとして様々な観点から捉えられるものでありましょう。
リビアというのは石油埋蔵量で世界第9位(※5)、石油生産量で世界第18位の国ですから(※6)、当然フランスとしてはリビアの利権というものをきちんと確保しなければならないと思っているのがその一つです。
そうした背景もあって、軍事作戦においてフランスは主導権を握ろうとし(※7)、NATO(北大西洋条約機構:North Atlantic Treaty Organization)の加盟国も基本的には協力するわけですが(※8)、他方米国からして見ればどう関与して行くのか大変難しい所でしょう。
つまり米国にとっての難しさというのは、先月『激変する世界情勢とSBIグループの在り方』と題したブログでも指摘した通り、今回エジプトのムバラク前大統領を権力の座から引き摺り下ろしてしまったことでサウジアラビアが怒り出しているということです。
従って、これから各国政権の行方を見る上で一つの大きなポイントになってくるのは、各国のエネルギー政策を左右する民主化絡みの動きがどうなって行くのかということだと私は見ています。
唯その一方で日本については最早そうしたことは全く関係無いような別次元とも言える状況であり、何れにしても無能な菅政権の終焉はもう時間の問題ではないかというように考えています。

参考
※1:オバマ米大統領、再選出馬を表明
※2:サルコジ仏大統領来日の思惑は? G8、G20での主導権確立へ
※3:原発政策で分裂するヨーロッパ
※4:Crude Oil and Commodity Prices
※5:COUNTRY COMPARISON :: OIL – PROVED RESERVES
※6:COUNTRY COMPARISON :: OIL – PRODUCTION
※7:リビア:多国籍軍空爆 指揮権巡り不和 NATO、米欧で思惑ずれ
※8:NATO、対リビア軍事作戦の指揮権を継承=反体制派へ武器供与せず





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  1. 情報が遮断されました。携帯は・・・PCは・・・もう動く事が出来なくなり。更に「兵糧攻め」に合い「資金」も枯渇
    してしまいました。「我」何を目指すべきでしょうか?



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