北尾吉孝日記

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「事実は小説よりも奇なり」という言葉がありますが、先週木曜日の「茶番劇」には全く恐れ入りました。
野党により共同提出された内閣不信任決議案に対し、自党からの70~80名程度の造反者がでて可決されそうになって初めて菅総理は仕方なく辞める振りをし、そしてその数時間後には「おれは辞めるつもりはない」というように言うわけで(※1)、私の人生においてこれ程愚かな茶番劇を見たことはありませんでした。
「ペテン師」の類と殆ど変わらない菅直人という人と全く信頼を置くことが出来ない鳩山由紀夫という人が日本の現総理、前総理かと思うと本当に情けない気持ちになります。
その前総理は現総理を「詐欺師」と言いますが、鳩山氏自身も政界引退を明言しながらあっさりと撤回したわけで(※2)、現総理と同じ様に国民を欺いてきたのではないかと私には感じられます。
更に言えば、一昨年11月の日米首脳会談における「トラスト・ミー発言」もそうですが、『鳩山政権の問題点』と題したブログで様々指摘したように、鳩山氏も大変な過ちを犯し続けながら一国の総理という地位に長々と留っていたわけです。
そのような意味では、正に国民が自国の政治及び政治家を最早信頼し得ないという光景をまざまざと見せ付けられた感があり、菅氏、鳩山氏に対して私は憤りを覚えています。
そしてまた今回の茶番劇によって確かなものとなったのは、現総理を含む日本の政治家というのが世界から人物として疑問視されるようになったということであり、私はそのことを大変残念に思っています。

2008年11月、当時の麻生政権を批判する形で『信なくんば立たず』と題したブログを下記のように書きましたが、中国古典の『論語』には政治の要諦に関する次のような一節があります。

【『子貢、政を問う。子曰く、食を足し兵を足し、民をしてこれを信ぜしむ。子貢曰く、必ず已むを得ずして去らば、斯の三者に於いて何れをか先にせん。曰く、兵を去らん。曰く、必ず已むを得ずして去らば、斯の二者に於いて何れをか先にせん。曰く、食を去らん。古より皆死あり、民は信なくんば立たず。』

これは次のように訳されます。

『子貢が政治について尋ねた。孔子が言われた。「食糧を豊富にし、軍事を充実させ、人民に信義を持たせることである」。子貢が言った。「もしどうしてもやむをえない事情でこの三つの内一つを省くとしたら、どれを最優先にしますか?」孔子が言われた。「軍事だね」。子貢がさらに言った。「もしどうしてもやむをえない事情で残った二つの内さらに一つを省くとしたら、どれにしますか?」孔子が言われた。「食糧だね。どんな人間でも昔からいつかは死ぬとされているが、人民に信義なくては国家も社会も成り立たないよ」』

これを現代風に解釈しますと、「兵」というのは国防、「食」というのは経済であり財政です。これらはいずれも国家において非常に大事な政策的課題であると孔子は言っています。しかし、孔子はこの二つよりも「信」ということがより大切であると述べています。大事な政策を進める為には、先ずその根本に国民の「信」がなければならない。国民がその政治の在り方を信頼して初めて政策を推し進めるべきであると言っています。】

『論語』の中には上述の一節以外にも、例えば「信なれば即ち人任ず(信義にみち偽りのない人には他の人は安心してすべてをまかせるものだ)」や「人にして信なくんば、其の可なるを知らざるなり(人間関係、人間の社会は信義に基づいて成り立っている。信義なくしては人間関係も社会も成立しない)」というように「信なくんば立たず」と同じ意味のことが随所で述べられており、信というものが如何に大事なのかが分かります。
況して為政者にとっては最も大事なものであるわけで、「信なくんば立たず」ということを菅氏にも鳩山氏にももう一度深く考えて貰いたく思っています。

民主党内外で早期退陣の流れが強まる中(※3)、鳩山氏が菅総理と「合意」した退陣の2つの条件「(1)復興基本法案の成立(2)2011年度第2次補正予算案の編成にめどをつける」が整った暁には、菅総理には今度こそ約束を果たして貰わなければなりません(※4)。
そして、その条件は精々掛かったとしても1、2ヶ月程度で整えられるものですから、唯唯恋恋と「8月まで」権力の座にしがみ付くのではなく、即刻辞職して欲しいと願っています(※5)。
今でも「死に体内閣」として世界から全く相手にされていない菅総理ですが、上記約束すら守らないとすれば、最早人間として菅氏を信ずる人は日本のみならず世界中に誰一人としていなくなるのではないかと私は思っています。

参考:
※1:内閣不信任案否決 菅首相、周辺に「辞めるつもりない」 退陣時期の確約ないと認識
※2:鳩山前首相、政界引退を正式に撤回
※3:民主、9月代表選へ、菅首相、8月退陣の意向
※4:首相退陣「夏が一つの区切り」 安住国対委員長 枝野官房長官「そんなに遅くない時期」
※5:首相「8月退陣」の意向 党内は「月内」強まる




 

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