北尾吉孝日記

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今年3月8日の『致知出版社の「人間力メルマガ」』に大和ハウス工業株式会社の樋口武男代表取締役会長・CEOが考える「成功する人の12カ条、失敗する人の12カ条」(文末参照)が載っていました。

結論から申し上げれば、成功する人というのは基本的に運が強い人なのだろうと思います。
例えば、日本経済新聞の「私の履歴書」に登場した様々な世界における成功者に対し、その成功の秘訣は何かと問えば、多くの人が「私は運が強かっただけです」というように答えるといった話を聞いたことがあります。
勿論、謙遜されて言われている部分もあるとは思いますが、やはり運というのは非常に大事なものなのです。
私自身は未だ大して成功を遂げたとは言えませんが、同じように問われれば、やはり「私は運が強かっただけです」と答えることでしょう。
では、その運を強くするのは一体何かということですが、私は「努力」「誠実さ」「粘り」の3つが特に重要ではないかと考えています。
人間は何事につけ「努力」をすべきであり、日々の仕事、あるいは社会生活において常に「事上磨錬」ということをして行かなければなりません。
学生であればその本分である学業に精一杯励み、徹底的に努力をして行くということが結局はその人の運を強めて行くことになるのです。
私の考える努力の中には上述の樋口氏の言う「常に明確な目標を指向」「今ここに100%全力投球」「時間を有効に活用」といった意味も勿論込められていますが、やはり無駄な時間を費やすことなく、その時点で最も大事なことに全力投球して行くということが大事なのだと思います。
次の「誠実さ」について言えば、様々な古典は勿論のこと、色々なビジネス書などにも誠というものの力に関する記述が多数あるわけですが、私自身も様々な形でこのことの重要性をこれまで説いてきました。
例えば、拙著『人物をつくる―真の経営者に求められるもの』(PHP研究所)の中では「指導者に必要な資質条件」の一つとして下記のように述べましたが、成功者となる上でこれまた極めて重要なことなのだろうと捉えています。

【第二の資質条件は、誠実さです。これは、人間としてごく当たり前のことだと思います。
まさに韓非子が言うように、「巧詐(こうさ)は拙誠(せっせい)に如かず」。
「巧詐」というのは、上手く誤魔化すこと。「拙誠」は下手でも真面目という意味です。
「巧詐は拙誠に如かず」と、韓非子は一言で言い表しています。
僕は過去、色々な古典を読んできましたが、これほど誠実さが大事だということを一口に表した言葉は、全く見当たりませんでした。
韓非子には、それだけ物事の本質を見る力があったのでしょう。
誠実さというのは、最後に人を動かします。
しかし、人間とは弱いものです。
よほど厳しく自分自身を律しなければ、どこかでその誠実さが狂うことがあります。
ですから、誠実であるということを、常に心がけなければならないと思います。】

そして事を成就させるには、上述した努力と誠実さに加えて最後の最後までやり抜く「粘り」、「為せば成る 為さねば成らぬ」の気概というものが絶対的に必要になると思っています。
運を呼び寄せるものとしては、上述の「努力」「誠実さ」「粘り」以外にもあるのかもしれませんが、大きく言ってこの3つが特に重要であると私は認識しています。
更にはこの3つがあれば運が良くなりますので、色々な良人に出会うことが出来るようになり、そこから付き合いが始まって仕事上プラスになるといったことも起き得るわけです。
「あの人に出会っていて良かった。あの人の助けがなかったら絶対に上手く行かなかった」という世界は運と言えば運ですが、運の前に上記3つがあって初めてご縁に結び付けることが出来るのです。
そして良縁に巡り合えば、次から次へと良縁が巡ってきてサクセスストーリーへと繋げて行けるような形にもなるというわけです。

逆に失敗する人というのは、上述したような3つのことがないために運を呼び寄せることが出来ない人です。
「努力」「誠実さ」「粘り」がある人であっても、成功を収めることが出来ない人も中にはいるかもしれません。
しかし、人間として不誠実で努力もせず、怠慢な日々を送っている人が成功するはずもないわけで、失敗する人というのは明らかに良く分かるものです。
これまでSBIインベストメント株式会社は660社に投資を行い116社を公開していますが(2011年3月末)、この世界で17.6%の成功確率を上げるというのはベンチャーキャピタルとして驚異的なものとして国の内外で高く評価されています。
これは私自身や所轄の人達の眼力により、正に人物を見極めてきた結果として成されてきたものであると私は認識していますが、その経験から言うと、やはり失敗する経営者というのは少し話せば大概直ぐに分かるものです。
以前受けたインタビューで「北尾さんは、ベンチャー企業に投資する時、どのような点で会社を見極めるんですか?」と問われ、私は下記のように答えました。

【僕は必ず社長面談をします。その会社のビジネスモデル以上に、まず社長自身がどんな人物なのかをきちんと見る。どんなにビジネスモデルが優れていても、社長が“志”のない人物だったら、絶対に投資はしない。】

やはり「純粋な志を持っていない」「私利私欲を捨てられない」といったことでは、結局利の為に義を損なうような人になるわけで、誠実さに欠けてしまうということになるのです。
またそのような人は、一時的には成功したかに見えても大体が短期間で凋落して行くわけで、長期に亘る繁栄や幸福などというものは所詮得られることはないわけです。
唯、「努力」「誠実さ」「粘り」の3つがあっても結果として運が良い形で展開しないという人も勿論います。
何故そうなるのかと言えば、それはその人に幸運が訪れているにも拘らず幸運を掴むことが出来ていないとか、勝機が訪れているにも拘らず勝機を逸しているといったことなのだろうと思います。
結果として、成功を齎し得る色々な良縁が折角天が恵みたもうた運であるにも拘らず、そのご縁をそのように感じることもなく、正に縁にあっても縁と気付かずという世界になってしまうわけです。
従って、「努力」「誠実さ」「粘り」の全てを兼ね備えた人であったとしても「運を掴む」「勝機を掴む」という所に問題を抱えていれば、必ずしも幸運の女神は微笑まないということも往々にしてあり得るのです。
一昨年11月、『縁について』と題したブログで下記の通り述べましたが、やはり失敗する人というのは、柳生新陰流の柳生家家訓にある言葉が意味する部分の欠如というのが一つあるのではないかと私は感じています。

【柳生家家訓には「小才は縁に出会って縁に気づかず。中才は縁に気づいて縁を生かさず。大才は袖振り合う縁をも生かす」という非常に味のある言葉があります。世の中には縁があるにも拘らず縁を生かせない人、縁に気づかない人が沢山いる一方で、「袖振り合うも多生の縁(=擦り合うも、触れ合うも、触り合うも)」と言いますが、僅かな縁をも生かせる人もいます。それが柳生家では小・中・大の才によって分けられているということです。】

●参考:樋口武男氏が考える「成功する人の12カ条、失敗する人の12カ条」
-成功する人の12カ条:1.人間的成長を求め続ける、2.自信と誇りを持つ、3.常に明確な目標を指向、4.他人の幸福に役立ちたい、5.良い自己訓練を習慣化、6.失敗も成功につなげる、7.今ここに100%全力投球、8.自己投資を続ける、9.何事も信じ行動する、10.時間を有効に活用、11.できる方法を考える、12.可能性に挑戦しつづける
-失敗する人の12カ条:1.現状に甘え逃げる、2.愚痴っぽく言い訳ばかり、3.目標が漠然としている、4.自分が傷つくことは回避、5.気まぐれで場当たり的、6.失敗を恐れて何もしない、7.どんどん先延ばしにする、8.途中で投げ出す、9.不信感で行動できず、10.時間を主体的に創らない、11.できない理由が先に出る、12.不可能だ無理だと考える





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  1. 小泉信三先生のお言葉はリツイートさせていただいています(VXiona)
    今回の3条件は最もと認識を新たに致しました。
    ところで運ということについてどなたもおっしゃらないことがございます。
    運の良い方には必ず陰に日向なりに強い祈りにも似た支えがあるからではと思っています。それは
    御両親 夫 妻 信頼する部下あるいは師 など。 人は支える人なしで(人)という字になりませぬように殆どの方は自分お一人の運と思いがちですが。支えあっての自分の運であると。ある方がおっしゃいました。旅行は何故楽しいか
    帰るところがあるから楽しいのだと。
    私は成功なさった方々を見るにつけ御本人の努力はもとより支えていらっしゃる方もとても素晴しいお方なのだなと思ッています。
    人生3度大きな曲がり角に出くわすといいますが其の時は必ずと言っていいほど支えてくれる人の何気ない言葉態度に接して助けられているのではないでしょうか。

  2. いつも北尾CEO日記の更新を楽しみに拝見して、とても勉強させて頂いております。

    「努力」「誠実さ」「粘り」の3つが揃って、結果として運が良い形で展開しないと成功できないようね。
    どんな困難であれ、失敗を常に前向きに捉える姿勢をもって成功するまでやり続けることは非常に
    重要ではないかと思います。

    ふと、京セラグループの創始者である稲盛和夫氏の人生の方程式を思い出しました。
    「考え方X能力X熱意=人生・仕事の結果」
    したがって、仕事や人生において成功を得るためには、考え方が正しいか正しくないか、
    それを自らに問うことが何よりも大事なのだと思います。

  3. 勉強になりました。今自分に必要なことを、教えていただきました。

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