北尾吉孝日記

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菅総理に関しては、5月11日『待望せられる一国の指導者としての人物』、6月17日『「新しい民主党」創造に向けて』、7月8日『末期的症状を露呈する菅内閣』等々、これまで私は本ブログにて一刻も早く辞任するよう訴え続けてきましたが、その願い届かずという状況が未だに続いています。
こうした事態を見るにつけ、どうしても総理の座から退こうとしない菅氏に対しては、最早次の一手しかないと考えています。
即ち、閣僚の大半が「貴方がお辞めにならないのであれば、我々が辞任します」と言って辞表を提出することであり、良識を備えた閣僚達には是非ともそうして頂きたく思っています。
そして、来月初旬には民主党代表選を実施し、新たな指導者の下で民主党の再生を図って貰いたいというように私は考えています。
仮に上記手段がとられた場合、菅氏というのが解散・総選挙に踏み切りかねない人間であるということは確りと認識する必要はありましょう(参考『菅直人-政治停滞の張本人』)。
そうして解散・総選挙が実施されれば、民主党は今のままでは大敗する可能性が極めて高いと見ていますが、それはそれで仕方がないと思っています。
とは言っても、自民党も大勝するわけには行かないというように思われ、自民党復権というのもまた考えものです。
やはり、戦後60年以上に亘る自民党長期政権下において築き上げられた政官財の癒着構造こそが諸悪の根源であり、今回の原発問題が生じたのもある意味では原子力安全・保安院や原子力安全委員会、東京電力株式会社といった所が自民党政権時代に強固な癒着関係を構築し、ありとあらゆる改革改善を阻んできたことに因るわけです。
本ブログで幾度か指摘してきた発送電分離や周波数統一といったものの実現を阻んできたのも、正に上述の癒着関係であります。
そしてまた、国会においては老朽化した40年以上前の原発に対して見直しを求める指摘が日本共産党議員からもありましたし、米国からも同じ様な指摘があったと聞いていますが、そうした中で前政権は何の対処もしてこなかったわけですから、その意味においては現政権というより前政権からのレガシーというものなのです。
従って、今年4月に『野党の民主党批判は御門違いな面も』と題したブログでも下記の通り指摘しましたが、政官財の癒着構造といった悪弊を完全に断ち切るべく、我々は今正に最重要課題としてそれを取り上げ、実態解明に動いて行くべきなのです。

【例えば、経団連会長や副会長のポストに東京電力株式会社(以下、東電)の歴代の首脳部達が就任し自民党に対して莫大な政治献金を行ったことで如何に原子力行政が歪められてきたのかということを徹底的に調査すべきです。
更には、「過去において一体どのぐらいの献金が東電から自民党に対してなされたのか」とか、「その献金が原子力行政のためにどれだけ使われたのか」とか、あるいは「原子力安全・保安院職員等の原子力行政に携わった人間が東電に天下りしていないかどうか」といったことについては虱潰しに調べるべきだと私は強く思います。】

今日本で希求されているのは、上述したような政官財の癒着構造全てを叩き潰す政治力と強力なリーダーシップです。
あの小泉純一郎氏を以てしてもその点では殆ど何も出来なかったわけで、「郵貯改革」に対する取り組みのみが行われただけなのです(悪い影響が齎されたのかもしれませんが・・・)。
私は今でも小沢一郎氏をおいて上述した大改革を成し遂げることが出来る人物は存在しないというように思っています。
そして、これまで本ブログでも幾度か述べたように次代の政界のホープは細野豪志氏であると考えておりますが、私の人物眼による限り、彼にはその素養があると思うのです。
この人物を如何に育て上げ、将来的に上記大改革を完遂し得るのかということこそが、日本にとっての一つの大きなポイントであると認識しています。
勿論、次の総理として取り敢えず野田佳彦氏にバトンタッチするというのも良いかもしれませんが、本格的な政権をどのように樹立するのかと言えば、それは冒頭でご紹介した『「新しい民主党」創造に向けて』というブログにて下記述べた通りです。

【そしてまたもう一つ重要になるのは、何時までも自民党に押し切られるというのではなく、あの2年前の夏、国民が民主党に対して何を期待したのかというその原点に立ち返って、もう一度再出発を図って行かねばならないということです(参考:『選挙結果に関する所感と民主党政権に期待すること』)。
民主党議員の皆さんには、戦後長期に亘り続いてきた自民党に根ざす政官財及びマスコミといったものの癒着構造を何としても叩き潰して貰いたく、そうした気概を持って次の一歩を踏み出していただきたいと心から思っています。】

今後主要テーマとなるのは、政官財の癒着構造を抜本的に潰し、そして新たな日本つまり世界に開かれた日本を創り上げるということです。
昨年12月に『日本の移民政策と国際送金事業の展開について』と題したブログでも指摘しましたが、日本という国には2010年末時点において1000人当たり7.5人程度しか永住外国人がおらず(※1)、先進国では考えられないほど極めて少ないのが現況です。
このようにインターナショナルな国とは到底呼び得ない日本という国が、グローバル化の大きな流れの中で21世紀を生き残って行くのはほぼ不可能と言えましょう。
今月15日の日本経済新聞社説でも「2011年版観光白書によれば、国際比較が可能な09年実績で、日本の外国人旅行者の受け入れ数は世界で33位にとどまる。首位のフランスの10分の1以下だ」と述べられていましたが、これだけ美味しい食事に恵まれた風光明媚な国に何故これ程までに外国人が入って来ないのかということを、今一度考えてみる必要がありましょう(参考:外国人旅行者受入数の国際比較)。
今週火曜日に行われたGoogle Inc.のExecutive Chairman、Eric E. Schmidtとのディスカッション時に、私は次のように述べました。

『ソフトウェアやシステムといったものに関しては、日本でも十分にディベロップしており、良いものは沢山あります。唯、問題はそうしたものを海外に持って行くことが出来ないということです。そこにはやはり英語という一つの大きなボトルネックがありましょう。そして、日本という国が世界に開かれておらず、海外とのコミュニケーションが非常に悪いという問題もあります。仮に日本が海外との英語を通じたコミュニケーションを積極的に展開するようになり、日本企業と海外企業がもっと密接にもっと頻繁に付き合うことが出来るようになれば、IT分野において日本が生み出したものであっても、幾らでも世界にセールスを掛けて行くことが出来るでしょう。当該分野は今米国の独占状態とも言えるようなものになっています。我々も投資家として随分良いものに投資してきましたが、それでもその殆ど全てがガラパゴスで終わっています。例えば、日本の携帯電話に関して言うと、少なくとも機能的には世界一ではないかと私は思っています。余りにも複雑であるが故に、それを使うのが面倒臭いと感じる人が多いのも事実ではあるけれども、それはガラパゴス的発展を遂げたものなのです。それを逸早く世界に広めることが出来ていたら、大変な輸出産業に成長していたことでしょう。では、何故そのように出来なかったのかと考えてみれば、①日本人の英語能力の低さ、②海外における桧舞台での日本人のプレゼンテーション能力の低さ、③日本人の強かさの欠如、④外国人とWin-Winを築き得るような日本人の協調性の欠如、といったことに起因するのではないかと思うのです。そうした要因等によって日本のものをグローバルスタンダードに出来ないという寂しさが、私には一つあるのです。』

私はEric E. Schmidtに対して、こうしたことこそが日本の問題点であるというように指摘したわけです。
ちなみに彼に述べた上記私見を考えるに当たっては、2008年12月12日『金融危機と日本外交』、2011年2月1日『なぜ日本のIT分野において大型ベンチャー企業が生まれないのか』、2011年7月5日『新しい日本を目指せ!』といった過去のブログも有用であると思いますので、ご興味のある方は是非読んでみてください。

以上、『新たな日本創造への処方箋』と題して様々な観点から論じてきましたが、今後日本という国が一刻も早く行うべきは、政官財の癒着構造の一掃及び広く国を開く事であるという私の認識を再度指摘し、本ブログの締めと致します。

参考
※1:在留資格別外国人登録者数の推移





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  1. 菅直人首相は私と同じ”団塊の世代”の政治家です。
    市民活動家出身だから為政者を攻撃する手腕はあっても宰相としての人物では無かったということしょうか。
    前の鳩山氏にしても同じで、この程度の人材しか同世代から輩出出来なかったことが残念でなりません。

    3.11大震災で、我々は本気になって今の国会選挙制度からして根本的に政治や経済構造まで<革命的な出直し>をする必要が出て来たという共通認識を、多くの国民が持ち始めているのではないかと云う気がします。

    北尾氏のブログを初めてお読みしましたが、素晴らしい見識であり、オピニオンリーダーとのいうべき存在です。
    もっともっと多くの人達に、この情報が屋外の街なかのリアルな場所で伝える
    <ソーシャルメディア>があったらと思うばかりです。
    これらの声が国民皆の声になって、政治家を畏怖させる位に影響をもつ既存マスコミを超えた媒体を創らねばと、心から思うITベンチャーの一人です。



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