北尾吉孝日記

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今月17日の『次期政権に期待すること』と題したブログ冒頭でも下記の通り指摘しましたが、小生が予言していたように野田佳彦氏が第95代首相に就任することになりました。

【民主党執行部は今月28日に代表選を行う方向で調整しているようですが、2ヶ月前に執筆した『「新しい民主党」創造に向けて』というブログでも「消去法的に見ても財務大臣の野田佳彦氏が次の総理に就任する可能性が極めて高いのではないか」と述べたように、恐らく菅後継は野田財務相ではないかと私は見ています。】

先週火曜日の『民主党代表選と小沢一郎』と題したブログ等々、これまで私は小沢一郎という人物をある部分において非常に評価していると述べてきましたが、今回の代表選を経て小沢氏は終わった人であるということが明らかになったのかもしれません。
下記記事にもあるように(※1)、当初は輿石東というような人間まで引っ張り出そうとし、挙句の果てには国会答弁中に涙を流してしまう海江田万里氏を推した小沢氏にとって、今回最も大事であったのはやはり勝ち馬に乗るということであったのでしょう。

『小沢元代表は当初、輿石東参院議員会長に立候補を要請したが、輿石氏が固辞した。このため、元代表は26日の鳩山氏との会談で、まず西岡参院議長を擁立したいとの考えを示したが、鳩山氏が「三権の長が首相になるのはいかがなものか」などと反対したため断念。最終的に海江田氏を推すことで一致した。鳩山氏はこの後、海江田氏とともに、同じ鳩山グループの小沢鋭仁氏と会談して海江田氏に一本化することを説明し、小沢氏も了承した。』

「ウォール・ストリート・ジャーナル日本版」にも『小沢氏、3回連続の「敗北」=求心力低下に拍車―民主代表選』という記事がありますが、やはり小沢氏の求心力は低下せざるを得ないと思われますし、そしてまた「小沢チルドレン」の殆ど全てが次期選挙において勝ち残り得ないでしょうから、小沢氏の勢力基盤というのはどんどん弱体化して行くのです。
従って、そうした意味で言えば小沢氏の影響力は著しく低下したと見るのが妥当であるとは思いますが、そうかと言って今回の決選投票において海江田氏は177票を獲得しているわけですから、野田氏も前任の菅氏と同じようにやはり小沢グループとの意見調整を避けては通り得ない部分があるわけです。
即ち、野田氏においても自公の協力を得るというだけではなく党内調整をきちっとして行かなければ議会を切り抜け得ないという意味において菅氏と同じような状況であり、議会運営というのはこれからも困難を極めることになるでしょう。
菅氏のように「挙党一致体制」の確立を訴えながら小沢グループを排除するのであれば、党内対立、延いては政治停滞に繋がって行くわけですから、融和に向けた人事、特に党内人事をどのように行なうのかという部分は今後の政治情勢を決定付け得る重要な意味を持つのです。
昨日の両院議員総会において野田氏が「もうノーサイドにしましょう」というように柔らかな形で就任の挨拶を切り出したのは非常に良かったと思っていますし(※2)、是非とも今回の人事において有言実行であることを願っています。

今回の代表選における野田氏の選出過程を見ていて、小生が以前書いた『人物をつくる―真の経営者に求められるもの』(PHP研究所)の中で「真の指導者たる人物とは」と題したパラグラフにおいて述べた孟子の教え、考え方を思い出しましたので下記引用してご紹介しておきます。

【孟子は、どのようにして人が天子になるのかについて、このような言葉を残しています。
「天授け、人与う」。

天が天命という形で授け、人民が与うという形で、人は天子になる、指導者になると言っているわけです。
自分で天子になりたい、指導者になりたいと思っても、必ずしもなれるものではありません。
逆に、天子になどなりたくない、指導者などに絶対になりたくないと思っても、そうならざるを得ないこともあります。
このようにしてなった指導者が、真の指導者なのです。
そして、全責任を持つ指導者であるならば、最終的な決断は絶対です。
このように考えると、これは天が与えたようなものだということです。

同時に、指導者になるためには、人が与うという要素も必要です。
「人与うを忘れると、その民を失う。その民を失う者は、その心を失えばなり」という言葉があります。
なぜ民を失うのかと言えば、民の心を失うからです。
「民の心」とは、言い換えれば、「人望」ということです。人望の源は、言うまでもなく人徳です。
人徳のない人には、人はそのようなポジションを与えないのです。

そして、仮に人徳のない人が指導者の地位になったとしても、すぐに組織は機能しなくなります。人徳がなければ指導者になりたいと思ってもなることができず、仮に指導者になっても、人徳がなければ退かなければならなくなります。
そうしなければ、組織が持たなくなるのです。】

要するに菅氏については、天は総理大臣のポストを一度授けましたが人望がなかったがために総スカンを食らって人に見放され、彼自身恋々と権力の座にしがみ付こうとするも指導的地位から降りざるを得なくなったというわけです。
また今回の代表選について言えば、1回目で負けはしたものの天は野田氏に天命という形で授け、更には人についても、例えば年齢的には寧ろ小沢氏に近い鹿野氏の支持議員約30人までもが野田氏に流れ、それが彼に勝利を齎したといった具合です。
つまり、鹿野陣営は野田氏にある意味期待して支えようという中で彼に投票したわけですから、やはり上述した人望、人徳といったものも野田氏にはあるのではないかというように思うのです。
何れにしても小生の予言通りに新総理となった野田氏というのは菅氏よりは遥かにベターな指導者であることは確かですから、私としてはこれから後、自公及び小沢グループの協力も得ながら長引く政治停滞からの脱却を図り、まずは日本経済復興に向けて日本が抱える諸問題を一刻も早く前進させることを切に願っています。

参考
※1:民主代表選5人名乗り、小沢元代表は海江田氏支持
※2:「もうノーサイドに」野田新代表、挙党態勢訴え
※3:鹿野氏、上着脱ぎ合図 決選投票直前「野田氏に票を」  :日本経済新聞




 

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