北尾吉孝日記

『ユーロ圏の将来3』

2011年11月16日 17:23
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今朝の「ウォール・ストリート・ジャーナル日本版」の「【外為市況】ユーロ急落、イタリア国債利回りが再び7%を突破(11月15日)」という記事タイトルにもある通り、ベルルスコーニ首相辞任後も尚且つイタリアの10年債利回りは「多くのアナリストが国家財政面で持続不可能とみなす心理的な節目」を突破し上昇しています。
ギリシャ財政危機」に始まった「ユーロドミノ」と言われるものが中々治まる気配を見せないというのが現況であり、様々な人が多様な観点で色々な発言をしていますが、やはり今年8月『終焉に向かうパックス・アメリカーナ』と題したブログで下記指摘したように通貨統合と金融政策のみではユーロというものは生き残り得ないのではないかと私は考えています。

【欧州統合通貨ユーロについても本ブログでこれまたずっと本質的問題点について指摘してきたわけですが、先月25日にも『ギリシャのユーロ離脱は時間の問題か』と題したブログ冒頭で「統一為替レートを使いながらも財政主権がメンバー国に夫々あるという根本的矛盾を内包している以上、その崩壊は時間の問題ではないか」と述べた通り、その基本的矛盾が故に今後も問題を起こし続け、その度に一時的な問題先送りを繰り返して行くことになるのかもしれません。
現在のような危機的事態に直面しても尚、ある意味での財政統一化を図るユーロ圏共同債発行に至らなかったのは、結局各国ベースで政治的決着を得られず財政統一化の実現が中々難しいということを物語っているのです。
ユーロ圏の将来というのも未だ見通し難い状況にあるわけですが、私見を述べるならば、金融・財政・通貨の全てをユーロ圏で一本化して行かなければ、ユーロというコンセプトは生き残り得ないのではないかと私は捉えています。】

先週金曜日『「イタリア危機」について』と題したブログで欧州委員会のバローゾ委員長が下記のようにユーロ圏分裂の可能性について警告していることに言及しましたが、ギリシャというのが最早ユーロ圏を離脱せざるを得ないとしても仮にイタリアやスペインといった問題国が現行通りユーロ圏に留まり続けるというようになった場合、更なる犠牲はドイツ等により払われなければならないわけです。

『欧州委員会のバローゾ委員長はユーロ圏が分裂する可能性があると警告。欧州連合(EU)筋は、独仏がユーロ圏を縮小した上で、統合を深める策を検討していることを明らかにした。フランス、ドイツ、ベルギーの当局者は、ユーロ圏から1カ国もしくは複数の国が離脱し、ユーロ圏にとどまった中核国は税制や財政政策などの面で、経済統合をさらに強化する可能性を検討しているという。』(※1)

ではドイツが上述したような犠牲を払いきるのかと言えば、凡そ1年半前『ユーロ圏の将来2』と題したブログで下記指摘した通り、非常に難しいことではないかと思うのです。

【今回のような問題が起こった時、ユーロ加盟国のどの国が最も負担するのかと言えば、それは結局ドイツになるわけで、負担率において各国間で大きな差が出てきます。
そうなりますと、ドイツ国民は「なぜ、ギリシャのために我々がそれ程負担しなければならないのか」「なぜ、PIIGSのために我々が…」というように反発するわけで、そのドイツ国民により選出されるドイツの政治家は非常に厳しい状況に置かれます。
つまり政治家である以上、票を意識せざるを得ない一方で、この危機を克服しなければ、欧州統合の理想は無に帰すということで、痛し痒しとなるわけです。】

もし選挙を気にしなくて良い所があるとすれば、その一つにIMF(国際通貨基金:International Monetary Fund)が挙げられましょうが、そのIMFに対してG20、取り分け巨額の外貨準備高を持つ中国や日本がどれだけ支えて行くのかが大事になってきます。
あるいは、本件に対して米国がどう政治的なリーダーシップをとって行くのかというのも当然ながら重要になるわけですが、今の状況を見ていますと一向に治まりそうにもないような感がしており、基本的には世界全体がユーロの存在というものを無くてはならないものとして認識せねばならぬことなのであろうと思っています。
ユーロは何とか存続するのではないかという人もいますが、そういう人達の議論の背景には存続させたいというような気持ちの方が強くあると思われ、ロジカルに考えるならばユーロというコンセプトの存続は最早難しいと言わざるを得ないというように私は捉えています。

【参考】-『ユーロ圏の将来』/『ユーロ圏の将来2

参考
※1:イタリア国債利回り、7%超え危機水準に





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  1. いつも日記を拝読させて頂いております。ユーロ圏の問題なのですが、本日、格付け会社の規制案が提出されたようです。イタリアのようなプライマリーバランス黒字の国の国債が売られると言う事は、格付け機関の格下げがあるのではないかという不安心理、またメディアによる不安心理の煽りのような報道が主な原因になっているように考えてしまいます。

    国債のよう国家の存続にかかわるような金融商品に対しての格付け機関の格付けのありかた及びメディアのありかたを、どのように考えいるのか聞かせて下さい。

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