北尾吉孝日記

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昨日の「ウォール・ストリート・ジャーナル日本版」の「東証と大証が2013年統合で合意発表―将来に懐疑的な見方も」という記事にも下記記述がありますが、「東京、大阪の両証券取引所が13年1月に経営統合することが22日」発表され、これにより世界第3位の規模となる「日本取引所」が誕生することになりました(※1)

『国際取引所連合が10月末に公表したデータによると、統合後の新会社に上場する企業の株式時価総額は3億6000億ドル(約277兆円)とロンドン証券取引所を抜き、NYSEユーロネクストとナスダックOMXに次ぐ世界第3位の規模となる。』

本件については今年7月の『グローバルな取引所再編成の時代』等々、本ブログでも幾度か触れてきましたが、要するに両社の統合により規模が拡大し世界第3位になったからと言っても本質的には殆ど意味をなさないことであると私は捉えています。
即ち、日本という国における上場企業がより魅力有るものとなり世界の投資家が注目するようにならねばお話になりませんし、日本のマーケットが非常にアクティブになり資金調達市場として魅力有るものにならねば世界を惹きつけられないのです(下記参照:2011年2月25日北尾吉孝日記『日本マーケット最大の弊害』より抜粋)。

【2010年はMBOで10社が上場廃止となり「日本でMBOが本格化した05年以降で計64社が市場を去った」わけですが(※2)、なぜ日本でMBOが増加しているのかを端的に言うならば、それだけ現在の日本のマーケットというのに魅力が無いからなのです。
高い業績を上げても株価が上がって行かないというような現況である他、例えば日経225採用不採用による株価への甚大な影響や、そもそもの日経225銘柄「選定基準」なるものの問題点等々、日本のマーケットは全くと言って良い程ナンセンスなものとなっています。】

そしてまた最先端のシステム投資を行い最先端のファシリティを実装しなければ世界から相手にされることはないわけで、この文脈で言えば凡そ1年前『世界的な取引所再編の動き』において下記指摘した通りです。

【株式会社東京証券取引所について言えば、今年1月に漸く新システムが導入されはしましたが、例えば2005年11月に「大規模システム障害」を起こしたこと、あるいは同年12月の「ジェイコム株大量誤発注事件」において「東証システムの不具合」があったということ等々、世界標準から何周も遅れたシステムによる問題をこれまで枚挙に暇が無いほど起こしており、緊張感の無い経営が行われてきたということが事実としてあるわけです。】

そうした基本的な部分が如何に改善されて行くのかが最も大事なことであり、例えば商品一つ考えてみてもデリバティブ(金融派生商品)やETF(上場投資信託)等々、どんどんと新しい金融商品が日本のマーケットで上場して行くということでなければ、世界から注目されることはないわけです。
従って、上述したように今回世界第3位の規模となる取引所が設立されるということ自体には殆ど意味がないというように私は認識しています。

参考
※1:クローズアップ2011:東証・大証統合決定 強い危機感、後押し
※2:(上)自ら上場廃止、6年で64社 株主より速さ重視、カネ余りで銀行も積極融資




 

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