北尾吉孝日記

『近づく露仏大統領選挙』

2012年3月2日 15:33
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今週末いよいよ実施されるロシア大統領選については、「最新の世論調査2つによると、プーチン氏が58―66%の得票率で勝利する見通し」であり、下記のように有力対抗馬不在の中で私はプーチンが99%勝つであろうと見ています(※1)。

『最大野党・共産党のジュガーノフ氏への支持は一部保守層などに限られ、自民党のジリノフスキー氏も民族的な有権者以外に支持が広がっていない。台風の目とされていた中間層の支持を受ける反政府系リベラル派政党ヤブロコのヤブリンスキー氏に至っては候補者登録の書類不備を理由に、出馬が認められなかった。』(※2)

昨年12月のロシア下院選において「結果に影響を与えるような違法はなかった」かどうかは実際のところ定かではありませんが、仮に不正をしていなくても十分に勝っていたと思われますし、「いろいろ批判はありながら、プーチンは国民全体でみると安定のシンボルでもある」わけです(※3/※4/※5)。
何れにせよ、プーチンが「これまでにない逆風」に晒されているというのは事実でありましょうが、今伝えられている状況を見る限りにおいて、今回勝利を収めるのはやはり彼なのであろうと私は考えています(※5)。
他方、4月22日に第一回投票が行われるフランス大統領選について言えば、現在は下記のような状況ですが、最終的には「サルコジ危うし」という形になって行くのではないかと見ています。

『再選をめざす現職のサルコジ大統領に対して、野党社会党のオランド元党首が序盤の戦いを優勢に進めている。4月22日の第1回投票ではオランド氏がトップになりそうな勢いだ。
(中略)移民排斥やユーロ圏からの離脱を唱える右翼のルペン氏も、社会の不満を吸い上げている。
いまの情勢が続けば、第1回投票ではだれも過半数を得られず、上位2人による5月6日の決選投票へ進みそうだ。』(※6)

ユーロを巡る様々な問題の解決に向けたサルコジ氏の言動を見ていて、私自身はその時々においてある程度評価しています。
唯、フランス国民からすれば「サルコジの対応は全く駄目だった」というような審判を下す可能性も十分にあるわけですから、どちらかと言えば彼は劣勢になるのではないかと思っています。
それから、フランスという国は電力の原発依存度が75%で他国への売り込みにも力を入れている「原発大国」ですが、「現状維持を訴えるサルコジ氏に対して、オランド氏は依存度を5割に減らすことを提案」しており、現況ではエネルギー戦略の在り方という争点においてもサルコジ氏は少し分が悪いかもしれません(※6/※7)。
唯、イランを巡る緊張関係の強まりや世界的な過剰流動性等により、今後も原油価格がどんどん上昇して行くようなことになってくれば、フランス経済における原発産業の重要性というものが再認識されましょうが、片一方では昨年3月の東日本大震災を経て安全性ということが世界的に非常に大きなテーマとなっているわけです(※8/※9)。
それ故ずっと原発推進派の立場を取ってきたサルコジ氏にとっては、安全性をきちっと担保した形でのエネルギー政策を打ち出して、これを所謂正反合の世界に如何に持って行くのかという難題に対峙せねばならないわけですが、そうした中でどこまで支持を広げることが出来るのかが一つの焦点になってくるというふうに私は見ています(※10)。
何れにせよ、私は年初の年賀式で我グループ全役職員に対し肝に銘じて頂きたいことの一つとして「各社の組織全般に影響を与える新たな人事異動は必要最低限に。」と述べたわけですが、今年は人事とりわけ大統領人事というのが全体に大変な影響を与えて行くことになるでしょう(※11)。
そうした意味で言えば、サルコジ氏の再選ならずオランド氏が勝利するという場合を考えますと、大きく言って今次の二点について私は懸念しています(※12)。
第一に、オランド氏のユーロというものに対する考え方が、今一つ明確になっていないこと。
第二に、欧州危機への対応の中で「メルコジ」と呼ばれる両輪体制が築かれたわけですが、これまで独仏間で醸成されて来たある程度の信頼関係というものがどうなって行くのかということ。

参考
※1:2012年2月29日ロイター「プーチン首相が暗殺計画を一蹴、大統領選前に強さアピール
※2:2012年2月26日日経ヴェリタス『「プーチン復活の後」警戒する市場、ロシア大統領選、圧勝でも政治混乱は不可避か』
※3:2011年12月21日日本経済新聞朝刊『旧ソ連諸国「CIS」が首脳会議、加盟国、民主化道半ば――米軍展開に厳しい条件。』
※4:2011年12月27日北尾吉孝日記『プーチンのロシアは続くのか
※5:2012年2月29日TBS News i「ロシア大統領選、反プーチン拡大の理由
※6:2012年2月24日朝日新聞「〈社説〉仏大統領選―サルコジ氏に試練の春
※7:2012年2月24日日経BPネット「フランス最大の太陽光発電センターは牧畜と共存する ──レ・メ村の選択(前編)ヨーロッパ再生可能エネルギー事情(1)
※8:2012年2月16日北尾吉孝日記『イラン情勢をどう見るべきか
※9:2012年2月27日ロイター「原油価格上昇の懸念台頭、円安加わり景気圧迫要因にも
※10:2011年4月7日北尾吉孝日記『2012年米仏大統領選挙とエネルギー政策
※11:2012年1月4日北尾吉孝日記『年頭所感
※12:2012年2月29日ウォール・ストリート・ジャーナル日本版「独首相、批判受けサルコジ仏大統領再選活動を取りやめ




 

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